びーの独り言

どこいくの?どっか。

奇偉荘厳の白鳳寺院・山田寺

 この本を見つけたのは最近であり、山田寺が大好きな私はすぐに購入した。シリーズ「遺跡を学ぶ」085。フルカラー。
 私が山田寺を知るきっかけとなったのは、小学校の頃の1982年に山田寺から東回廊が発掘された新聞記事だった。当時、法隆寺よりも古い日本最古の木造建築物が見つかったということで大々的に取り上げられていた。私はそれがどれくらい凄いことかは理解してなかった。ただ、子供心に「山田寺」という名前が法隆寺東大寺などと違って名前がおよそ寺らしくなくて、山田太郎など人名を連想させることに妙にインパクトがあった。
 また山田寺にはもう一つのエピソードがあった。2020/10/11に興福寺に行った時に、いきなり大仏の頭だけが出てきた。しかも国宝だった。解説には山田寺仏頭と書かれていた。なぜこれが興福寺にあり、しかも国宝になってるのだろう?これは1187年に興福寺の僧兵が山田寺からご本尊を強奪したものであった。そして1411年に火災に遭い首だけになってしまった。この首は新しいご本尊の台座の下にしまわれてやがて忘れ去られた。再発見されたのは1937年だった。
 山田寺のこの2つのエピソードだけでも充分に強烈なのだが、この本にはもう一つの衝撃的なエピソードが書かれていた。山田寺の年表が聖徳太子の伝記である上宮聖徳法王帝説の裏に書かれていたのだった。当時は紙が貴重だからたまたま山田寺のことが書かれていた紙の裏を利用したのだった。こういうのは障子の貼り紙とかで見つかることがある。それにしても何と面白い出来事だろうか?
 さて、この本では山田寺の概要から発掘の成果までをこと細かく紹介していた。著者は建築の専門家で建物について物凄く細かく説明していた。これまでいろんなとこで建物を見てきたが、説明があまりないのでよくわからなかった。この本は望むところではあったものの、逆に説明が細かすぎてよくわからなかった。なるべく図解して説明しようとする努力は感じたが、それでも説明がない専門用語がいきなり出てきたりして置き去りにされた。
 この本を読んでみて、久しぶりに白鳳寺院への熱が甦ってきた。白鳳の頃は伝説と現実の間が曖昧で、想像の余地がたくさんあって面白いんだよなあ。また明日香に行ってみたくなった。