びーの独り言

どこいくの?どっか。

時刻表ひとり旅

時刻表ひとり旅 (講談社現代新書)

時刻表ひとり旅 (講談社現代新書)

 久しぶりの宮脇氏。ずいぶん読んだつもりなのだが、たくさんあるなあ。旅行のときに楽しんだ。
 これは大ヒット!私が欲しいと思っていた各路線ごとの営業係数一覧が出ていたからだ。営業係数とは、その路線が100円を稼ぐのに使ったお金である。営業係数が100円を越えれば赤字になる。この営業係数は昭和52年から54年の3年間で計算された。この後、国鉄のローカル線は次々と廃止されていった。時折数字を散発的に見かけることはあっても一覧で見かけることはなかった。きっと一覧はないのだろうと思い込んでいた。だから、これは飛び上がるほど震えた。やはり鉄道に乗っているとどうしてあの線は廃止されたのかというのが気になる。国鉄の末期はほとんどの線が赤字だった。そして、一番ひどい添田線がなんと3324であった。100円稼ぐのに3324円もかかっていたとは!この本には営業係数のほかに輸送密度というのも併記されていた。輸送密度とは、この数字が大きいほど、よく利用されていると考えることができる。すなわち赤字じゃなくても、輸送密度が低ければ、役に立ってないと言えるのだ。この両者を併せて廃止の議論をしたようだ。しかし、この数字には細かい点で不備があることがいろいろと指摘されている。つまり1つの路線の中でもよく利用される区間と閑散とした区間に分かれることを無視しているのだ。だから、どさくさに紛れて、比較的よく利用されている区間までが廃止になったりした。例えば、私の気になる松前線などである。逆に大赤字なのに近くに道路が整備されていないという理由で存続している路線もある。只見線はその典型である。
 私が小学生の頃、ケイブンシャの「国鉄駅名全百科」で国鉄の路線を知った。私の鉄道人生の原点である。全国いろんな土地に鉄道網が張り巡らされていることを知り、その土地に対して思いを駆け巡らせたもんだ。今誰かこの本を持っているのなら高額でもいいから譲ってくれないだろうかなどと本気で思っている。中学校のとき生徒手帳には鉄道マップが載っていた。そのときはまだ北海道の路線も健在だった。それが高校生になったときには北海道の路線が1/3になっていたことに衝撃を覚えた。なぜせっかく作ったものを廃止するのか釈然としなかった。鉄道がないと困るんじゃないかと思った。今、営業係数と輸送密度を見ると、廃止は仕方なかったと思うのだが、それだけに乗ってみたらどれだけ面白かったんだろうかと思う。特に北海道の路線は乗ってみたかった。今それは叶わないので代わりに廃線を巡ったりするのである。時間は流れ、時代は変わっていく。寂れていることに哀愁や郷愁などを覚えるなんて現地の人にとっては迷惑以外のなにものでもないだろう。でも、普段の生活から離れた非日常を味わうことや違った視点から社会を眺めることは私にとっては必要なのである。人は本能的に新しい場所を捜し求める存在なのかもしれない。