びーの独り言

どこいくの?どっか。

評価と贈与の経済学

評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)

評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)

 東京駅の店頭で見つけた。岡田斗志夫氏と内田樹氏の対談集。岡田氏の本にはいつも何かの気付きがあるし、内田氏のことはずっと気になっていた。だから2人がコラボしててちょうどいいかと。
 内田氏のファンである岡田氏がいろいろと話を聞くというシチュエーションで進んでいく。とにかく気持ち悪かった。お互いの主張がずれていて、それでいて何がずれてるのかわかりにくくて。前書きで岡田氏がわざわざ、微妙な差を楽しんで欲しい、とか、本文にほとんど手を加えなかった、と書いているので、わざとそうしてるんだろうなと。
 金は天下の回りもの。手元にある金は自分の実力で稼いだものではなく、社会から回ってきて一時的に預かっているだけ。上の世代からお世話になったことは下の世代に返す。もらったパスは返さないとパスは来なくなる。生きる根拠がないと悩んでいる人は、他人に生きる根拠を与えることでしか、その悩みは解消されない。
 なんでも数値で評価するようになり、信用や価値観まで貨幣やクレジットカードに凝縮してしまったことで、人は人をきちんと信用しなくなった。これからはネットにより、人どうしのやりとりが増え、いわゆるいい人が信用されるようになる。
 結婚は、男が家事ができない、女がお金が稼げないという負い目から成り立っていた。世の中が便利になって、女性が一人立ちするようになると、結婚する意味がなくなってしまった。本来の結婚は、誰かのことを好きじゃないとできないのではなく、安全が保証されるなら誰でもいいわけで。むしろ誰でも好きになれる方がいい。
 4回読んだ。1回読むのに5日くらいかかった。なんとか読み解こうと頑張ったが、その微妙な差が最後まで埋まらなかった。そして、そもそもこの主題が時間をかけて理解すべきものでもなかったかと。要は、評価の尺度はお金だけじゃなくて、相手のことを思いやる気持ちですよ、ということをくどくど書いてるだけだった。この本はコラボの失敗例だと思う。お互いが自分の意見を主張するあまり、内容がぐちゃぐちゃになってしまっている。それこそ相手を思いやる気持ちが欠けてるのではないか?この本を読むのなら、個々の本を読んだ方がいいと思う。