びーの独り言

どこいくの?どっか。

影法師

影法師 (講談社文庫)

影法師 (講談社文庫)

 「永遠のゼロ」百田尚樹氏の2冊目。本社のNさんと読書の話をしていたら、2冊貸してくれた。その中1冊。
 男の友情を描いている。真剣に友人のことを思うと、こうなってしまうのか。私はこの展開に弱い。せつない。せつなすぎる。「永遠のゼロ」の舞台を江戸時代にして、構成を複雑にした感じ。「永遠のゼロ」より面白かった。
 江戸時代の武士の様子がよくわかる。江戸時代には厳しい身分制度があり、蛙の子は蛙だった。生まれた家ですべてが決まった。武士は下士、中士、上士に分かれ、長男になれば家を継ぐことができたが、次男以下は他の家に婿養子に入るか、家の離れで独身のまま暮らさなければいけなかった。だから次男以下は頑張って勉強したし、武道に励んだ。武士は常に死と隣合わせだった。何か揉め事があれば、すぐに切腹。失敗が許されないし、場合によっては誰かに巻き込まれることも。もうそれは天命としか言えないものだった。すべてが命懸け。なんて厳しい世界なのだろう。
 2日で読んだ。百田氏の小説は、ストーリーの面白さもさることながら、背景の描写がしっかりしているので、とても勉強になる。よくもまあここまで調べ上げたものだ。その洞察力に感服するとともに、表現力に舌を巻く。この本は誰にでもお薦め。