びーの独り言

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やってはいけない健康法

やってはいけない健康法 (知的生きかた文庫)

やってはいけない健康法 (知的生きかた文庫)

 大泉学園の「LIBRO」に平積みされていた。未読がたくさんあるので買わないようにしてるにもかかわらず買ってしまった。パラパラめくるとコレステロールの話が書かれていたからだ。私はコレステロールが高いのだが、以前に後輩Oが「コレステロールは身体で作られていて、コレステロールの多い玉子とかを控えても関係ないです。」という言葉がずっと気になっていた。玉子、おいしいし食べたいよね。英会話の本や仕事関連の本もやらなきゃいけないけど、どうしても抑えきれずに読んだ。
 著者は免疫を専門とする順天堂大学の教授である。奇しくも私も順天堂大学病院に通っていたりする。
 コレステロールは悪いように言われているが、細胞やホルモンの原料となり、少なすぎれば、血管が破れやすくなったり、病気に対する抵抗力が弱くなったりする。日本のガイドラインでは1996年に総コレステロール220mg/dl以上が高いとされていたが、5万人を対象にした臨床試験では死亡率が低かったのは200〜280mg/dlであった。さらに2010年に日本脂質栄養学会が「もっとも長生きをするのは260〜280mg/dl、ここから数値が低くなれば病気による死亡率が高くなる」と発表した。コレステロールの基準は実に曖昧であったり。
 身体のコレステロールうち食事で摂取されているのは20%にすぎない。80%は肝臓など身体の臓器で作られる。食事から摂る量が増えても、体内で作られる量を減らして総量が保たれるようになっている。
 コレステロールの20%は脳に存在し、コレステロールが欠乏すると気力が失われたり、鬱になったりする。コレステロールは低すぎりリスクの方が大きい。下げる薬はあっても上げる薬はない。
 日本人は戦後から平均体重が上がるに連れて寿命も伸びてきた。太めになってエネルギーを蓄えられるようになったから健康になり寿命も伸びた。2009年の厚生労働省の5万人規模の調査では、太りぎみ(BMI(体重を身長の2乗で割ったもの)25〜30)が一番長生きとなった。ところが日本肥満学会では2011年にBMI25以上が肥満と定義している。基準とは実に曖昧なものだ。
 高血圧の基準は、最高血圧が140mmHg、最低血圧が90mmHgである。これは20〜30代の若い人を基準にしており、歳をとれば血管に弾力がなくなり数値が上がるのが普通である。厚生労働省の調査によれば、日本人40〜74歳のうち、男性は6割、女性は4割が高血圧である。
 平均寿命が伸びた原因は、栄養価の高いものを食べ、バラエティーに富んだ食事をするようになったから。一日に一食しか食べられない国は平均寿命の上位には登場しない。食べるものを気にしすぎるよりも、バランスよくおいしく腹八分目が大切。食べることに貪欲な人は生きることにもエネルギーが旺盛。
 長生きするためには免疫を強化すればいい。免疫は精神的な影響を大きく受ける。落ち込んだり、悲しむのではなく、のんびりとだらだら過ごすのでもなく、ポジティブなストレスを与えるのがよい。よく笑ったり、人としゃべったり、出歩くのが効果的だと言われている。また堅苦しく考えず、適当にいい加減に対応するのがよさそうである。
 免疫に効いているのは腸内環境である。腸内の善玉菌を増やすには乳酸菌がいいが、胃酸によって溶かされてしまう。最近は生きたまま腸に届く乳酸菌が注目されており、ヨーグルトに使われている。発酵食品にも乳酸菌がたくさん含まれており、特に納豆のナットウキナーゼは優れている。
 牛乳も毎日摂るようにしたい。たんぱく質、カルシウム、脂肪、必須アミノ酸などが豊富に含まれている。長生きする人には毎日牛乳を飲む人が多いことがわかっている。
 長生きする7箇条として以下を挙げている。
  1、仲間を大事にする
  2、異性にときめく
  3、よく笑う
  4、夜更かしはしない
  5、いつも能天気に構える
  6、食事は何でもほどよく食べる
  7、運動はちんたらやる
 2回読んだ。1日で速攻読める。この本は免疫に着目していて、なるほどと思ったが、主題の前提となる精神面と免疫の関係は説明されてなかった。最後に出てきた7箇条を見ると、なんでもない結論で拍子抜けだったり。でも、数値の基準がわかったのは成果だった。読みやすいから、ちょいお薦め。