びーの独り言

どこいくの?どっか。

日本の選択 あなたはどちらを選びますか?

 池上本の13冊目。土曜日に「LIBRO」の店頭で見つけたばかり。ぱらぱらとめくると12/16の衆議院選挙を狙ってると思われるが、12/10発売なのが残念すぎる。急いで読んだ。
 選挙の争点となりそうな話題が解説されていた。消費税、社会保障、ものづくり、領土問題、日本維新の会、大学の秋入学、教育委員会制度、原発ゼロ、選挙制度改革、がれき処理
 「社会保障と税の一体改革」について詳しく解説されている。政府は消費税を2014年に8%、その1年半後に10%に上げると言っている。ただし、景気を見て判断すると言っているので完全に決まったわけではない。日本の借金は1000兆円ある。1年の国の予算は収入42兆円に対して支出が90兆円もあり、毎年50兆円近く借金が膨れ上がっている。完全に債務超過の状態だ。消費税を10%にすると14兆円の増収があるが、これでは全然足りない。支出の内訳は、国債を返すだけで22兆円、社会保障関係は26兆円、これだけで既に48兆円。少子高齢化を迎え、社会保障関係では毎年1兆円ずつ借金が増えている。だから社会保障もセットで見直すことは必然なのである。しかし、野田政権は消費税を上げたところまでで退陣、社会保障制度改革は次世代に先送りした。この本には社会保障の解説はされているが、これからどのようにすればいいのか納得のいく案は書かれていない。この問題はずっと前から指摘されているのに案がないのだろうか?もしかすると既に詰んでるのかもしれない。政治家は目先の人気取りだけで、何十年後先の未来までは考えていない。庶民が政治に参加しなければいけないと池上氏は説く。今の構造をこのまま放置すれば、日本という国がダメになる。
 池上氏がものづくりの話をしているのは初めて見た。でも、解説だけでもの足りなく、現状認識が少しずれてる感じもあった。一番大事であろうところ、日本国内の製造業には未来がない、というところを言及しなかった。アメリカの製造業を日本が駆逐したように、日本の製造業は韓国と中国にやられようとしている。この図式は資本主義である限り必然ではないだろうか?てっぺんまで上がってしまえば、後は落ちるしかないのだ。日本は技術的優位が保てないところまで追い込まれている。TPPやFTAなどで市場を拡大するというのも、空洞化にとっての解決にはならない。会社は外国にいけるかもしれないが、そう簡単に人は日本を捨てて移動はできない。国策により産業を保護してあげないと、国力が低下し安全保障にも関わる。池上氏は専門じゃない分野を解説するのはキレがないね。前の宗教本もそうだったし。もしかすると池上氏が得意とする政治や経済でもズレがあるのかな?
 領土問題は客観的に歴史をまとめているように見えてさすが池上氏というところ。日本には竹島尖閣北方領土の3つの問題がある。今までの自民党政権ではずっと先送りにしてきたが、日本の経済力が低下するにつれて、日本の影響力が低下してきた。この先は私の考えを書いておく。竹島は微妙だなあ。ふぁびょっている国とやりあっても永遠に解決しないだろう。経済は日本に依存してるくせによくあんだけ挑発してくるな。北朝鮮と同じ民族だけあるわ。スワップ拡大枠の解消で慌ててるみたいだから、経済制裁しときゃいいでしょ?尖閣は断固守るべし。チンピラ国家からいかに領土を守ればいいか真剣に考える時期に来ている。憲法9条を解消して、核武装だって検討した方がいいよ。経済というカードが切れなくなったのなら、今ブレーキが壊れている状態だもん。アメリカ頼みでなく自分の国は自分で守りましょう。北方領土は最悪2島返還で我慢すべし。4島返還がいいに決まってるけど、2島だって実効支配から分捕れば御の字ですよ。プーチンは他の国との領土問題を次々と解決していて、今がまさにチャンス。いつまでも揉めてても前に進めないでしょ?それとも政府はずっと北方領土というカードを持っていたいのかな?2島でも返還したら、いろいろつけこまれそうだしな。そのへんの天秤か?
 教育委員会制度についても興味深かった。教育委員会とは事務方の教育長が1人と教育長が選んだ素人の4人で構成される。教育長が方針を決めると素人の4人は追認するだけ。教育長には人事権まであり、やりたい放題。それが大津市の自殺問題で機能してないことがバレてしまい、大阪の橋下市長が動いた。本来、市長は教員方針や人事に介入できない。これは戦時中に政治が教育に絡んだ反省からである。橋下氏は市長が介入できるようにして、市民も監視できるように条例を定めた。いいか悪いかは別にして新しい試みは賛成である。公務員関連ではいくつもこういう形だけの無駄がありそうだ。裁判官の国民審査だって意味ないし。
 この本は時事ネタを扱っているためかキャッチーでとても面白かった。以前にも増して強く意見しているのがなかなかよかった。池上氏が政党を立ち上げれば、ものすごい支持されるんじゃないかな。自らが立候補するんじゃなくて、政策を立案してわかりやすく解説してもいい。既に最後の切り札として考えてるかもしれないね?2回読んだ。2日で読める。最近の社会問題を手っ取り早く知りたいなら絶好の一冊。こういうことこそ高校で必須科目にしてしっかりと教えるべきだと思う。