びーの独り言

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日銀を知れば経済がわかる

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)

 池上さんの17冊目。大学友人Sからのお薦め。でも、薦められる前から持ってたり。
 題名そのまま日銀を解説している。他の池上本と比べると読みにくい感じがするが、読み進めてるうちにだんだんとのめりこんでしまった。
 日本銀行には三つの役割がある。「銀行の銀行」「政府の銀行」「発券銀行」。
 「銀行の銀行」。金融機関は安心できる日銀に貯金をする。金融機関は日銀に当座預金の口座を持ち、決済に使用している。また準備預金制度に従い、預金などのうちの一定比率の額を必ず日銀に預けなければいけない。そして日銀は銀行で取り付け騒ぎが起きたときの最後の貸し手である。
 「政府の銀行」。税金や社会保険料は日銀に集められる。また国債の発行にともなう業務を行っている(発行を決めるのは政府)、また銀行から国債を買ったり売ったりして、コール市場での短期金利を誘導している。
 「発券銀行」。日銀は紙幣を発行する。国立印刷局に指示を出して、お札を印刷させ、お札を買い取る。また傷んだお札を処分して新しいお札と交換する。
 以前は日銀は公定歩合金利をコントロールしていた。公定歩合とは、金融機関が国債社債などを担保とし、日銀から金融機関に資金を貸し出すときの利率である。金融の自由化により金利は市場原理に任せようということになり、今は金融機関との国債の売買で金利をコントロールするようになった。その際日銀は目標の政策金利を設定する。金融危機に対処するためのゼロ金利政策の中で、操作目標は政策金利から当座預金残高に改められた。大量に国債を買い取り、金融機関にお金を余らせ、市場にお金を流通させようとする作戦である。これを量的緩和政策と呼ぶ。
 プラザ合意からバブルを経てバブルが弾けた後から現在までが解説されている。すごく臨場感があって面白かった。日銀は後手後手で失敗ばかりしてるように見える。経済の専門家なんて所詮自分の稼ぎを最大化することだけ考えて、思いきった手が打てないんじゃないの?
 私は経済は胡散臭いものだと思ってる。右に振れても左に振れてもそれがどうした?潰すことのできない金融機関にモラルなんて守れると思わないし、デリバティブでリスクを分散するのなんてねずみ講の会員を増やすようなもんだし、ヘッジファンドがやりたい放題暴れるのに歯止めもかけられない。実体がおいてけぼりで、幻想ばかりが先行してる。これがギャンブルでなくてなんだろう?
 今の日銀は政府自民党に促され、デフレ脱却のためにインフレターゲットを設定しているが、内需が増えないと本質的に意味がない。自民党は高速道路の建て替えや地震対策や津波対策でばらまきをやろうとしているが、果たしてどうなることやら。国の借金が増えて、一部が儲かるだけじゃないの?
 3回読んだ。3日くらいかかった。よくまとまっている。読みながら自分でまとめるとさらに理解が深まるだろう。池上さんのファンなら是非覚えておきたい内容だ。