びーの独り言

どこいくの?どっか。

池上彰の政治の学校

池上彰の政治の学校 (朝日新書)

池上彰の政治の学校 (朝日新書)

 池上氏の12冊目。池上氏の本は何かしら気づきがあるので、なんでも読もうと思っている。たくさんある未読の中から、ちょうど衆議院選挙があるのでチョイスした。
 冒頭にいきなり次の文から始まっている。「日本の政治がうまくいかないのは、政治家が「票集め」に走り、国民は「幸せの青い鳥」を追い求めているからです。」。池上氏は対策として次の2点を挙げている。「高齢者ばかりが選挙に行くので、高齢者寄りの政策になる。若者は選挙に行って、きちんと投票すべきだ。若者に選挙に興味を持ってもらうために、選挙権を諸外国と同じ18歳にして、高校で模擬投票をすべき。」「ポピュリズムは危険だ。小泉政権民社党政権では、停滞した空気を変えてくれるという期待感だけで投票したためにその後に裏切られた。今回の選挙では日本維新の会が話題になっているが、きちんと政策を見極める必要がある。」
 官僚の解説はとても面白かった。官僚は政治家の方針決定を受けて、政策を策定するが、実際は政治家にいくつかの案を提示して、自分たちのやりたい案を選ばせる。官僚は審議会を開き、一般の有識者の意見を聞くが、反論しなさそうな都合のいい人を選び、自分たちの案を了承してもらう。メンバーは、経済界代表、大学代表、地方代表、マスコミ代表、消費者団体代表など。いきなり突飛なことを言われては困るので、まずは分科会に呼んでから人となりを見極める。審議会を通った案は首相に伝えられると同時にマスコミに公開される。マスコミに正しい理解をしてもらうためである。また政治家が反論した場合は、直ちに政治家のところに説明にあがって懐柔する。審議会の前に素案があった、とリークされることがあるが、それは常識である。これって完全に出来レースだよな。今まで政治家って何を決めてたんだろうね?
 池上氏はネットでの選挙活動を解禁すべきだと主張している。しかし、ネットでの情報は極端なので鵜呑みにしないようにも言っている。ネットで言われるマスコミの偏向報道については、そういうことを意図的にすることはないと強く反論しているが、マスコミの言うことは公平であるという一方的な態度は腑に落ちない。何をもってマスコミが公平だと言うのだろうか?この点だけはいつも残念に思う。
 2回読んだ。2日で読める。前作「池上彰のお金の学校」もそうだけど、こういう内容は高校で教えるべきだ。池上本の中では面白い部類。一般常識としておすすめ。