びーの独り言

どこいくの?どっか。

地方交通を救え!

 岡山電気軌道を傘下に収める両備ホールディングスの小島代表の話。小島代表は和歌山電鐵を再建したことで知られている。先日テレビで特集をやっていた。中国バスを建て直した手腕を見込まれて井笠バスの再建を依頼されたという内容だった。和歌山電鐵以外にもやっていたのか。この本では著者が小島代表の考え方を取材している。
 小島代表の主張は以下の通りである。衰退する地方鉄道はモータリゼーションと沿線の過疎化により、もう民間だけでは支えきれないところまで来ている。しかし、今後高齢化社会がやってくると、車の運転できない高齢者には鉄道が必要である。外国の事例を研究したところ、地方鉄道は国が支えていることがわかった。小島代表は、現行の補助金制度では、お金を稼がなくても補助がもらえることが問題だと指摘する。そこで、設備は国で保有し運営は民間でやる「公設民営」を提案している。小島代表に共感を覚えたのは、お客様のことを第一に考えて、地域社会のために身を捧げているところだ。他の会社の建て直しはボランティアでやってるとのこと。本文では触れていないが、再建計画を数字で表すような実務面も凄いのではないかと思う。
 著者はいろんな人にインタビューしているが、もっと小島代表に光を当てて欲しかった。大学教授の話などはどこかずれていると思った。彼らは政府への働きかけだけのために存在していると考えられる(審議会のメンバー?)。または自分たちの理論を実証する場が欲しいだけだ。現場で身をもって奮闘する小島代表よりは格下に見えてしまう。この本では、いろんな意見が出てきていろんな角度から議論がなされているが、それを小島代表の「公設民営」を強調することでまとめあげようとしている。アイディア自体は今更語り尽くされているものであるが、小島代表はロビー活動にて国を動かして実現していこうとしているところが熱い。ただそれだけで必ず救済できるとは思えない。実際にどうやって再建したのか、その辺りも重要だと思うのだが、この本ではあまり触れられてるとは思えない。
 文章が若くないと思った。プロフィールを見ると、何年生まれか書いてなかった。ネットで調べるとかなりの高齢であることがわかった。シリアスな内容を扱ってる割には現実の空気が伝わってないような気がするんだよなあ。おじいちゃんが自由研究したような感じ。