- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/08/28
- メディア: 文庫
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戦う哲学者中島義道の3冊目。前2作を読んで中島義道の本には暗くさせられるというか気持ち悪さを感じた。再び手に取ろうとした理由はよくわからないが、毒が抜けて許せるようになったのかもしれない。
この本は前2作よりもスカッと痛快で切れ味が鋭く感じられた。脳ミソがこなれてきたかな?きめ細かい言い回しが、インテリがほざく論理的な批判そのものであり、またそれが猛毒すぎて、吹き出してしまいそうになる場面が何回もあった。とても文章がうまい。
中島義道は自分のことをどこまでも掘り下げて考えている。いつも自分が中心だ。他人に何かをしてもらうのが嫌いで、他人に何かをしようとも思わない。外国の個人主義が根底にあるように思える。だから日本社会に流れる無言のルールが嫌いで、その同調圧力がマイノリティを抑圧していることに激しく怒っている。そのルールに従うことは批判しないが、盲目的に従っていることをさらに批判している。またことあるごとに人はどうせ死んでしまうと言い、だから何をしても意味はないという立場である。でも、死んでしまった方がいいとは言わない。むしろ生きろという。そこは未だに理屈がわからないが、希望を感じる面白い部分である。基本的には生きようが死のうがそれは自分で選ぶことであって、人のことはどうでもいいのである。
3日で読める。何回読んでも飽きなさそうだと思っていたのに2.5回のところで岡山駅のトイレに置き忘れてしまった。また別の本を買おう。