びーの独り言

どこいくの?どっか。

2012/08/10(金)年休「旅行2」

 オリンピックを見てたら睡眠時間を削られてしまうが、電車は時間通りにやってくる。高松の始発は0544、乗り鉄の朝は早い。
 高松―琴平―阿波池田―高知―窪川宇和島八幡浜
 高松から阿波池田は合宿免許を取っている最中の96年夏に通ったことがある。途中の薄暗い山奥にスイッチバック駅があり、周りに本当に何もなかったことを覚えている。まさかそれが後に秘境駅として有名になるとは。その駅の名前は坪尻。今日乗った電車は鈍行にもかかわらず華麗にスルーしていった。
 阿波池田では1時間待ち。甲子園を湧かせた池田高校で有名な町であるが、それを知らなければ山間のひなびた町にしか見えない。個人的には96年の合宿免許の際に特急に乗って降り立った場所というイメージが強い。今日もあのときと同じ夏の強い日差しだった。まるで夏休みに田舎のおばあちゃんのところに遊びに来たみたいな雰囲気がある。ホームや跨線橋も当時と変わらない。あれからずいぶん長い時間が経ち、私は変わってしまったが、ここにはあのときの思いがそのまま残されているようだった。
 阿波池田から土佐山田までは大歩危小歩危を通る。大歩危小歩危とは吉野川沿いのとても険しい渓谷である。そこのきわに線路と国道がはりついている。景色を期待していたのだが、ほとんど気を失っていた。この区間では寝てしまうことが多い。何度も車で通ったことがあるからだろうか。
 1107高知駅に到着。予約していたかつおたたき弁当を受け取った。私はかつおのたたきが大好きだ。調べていたら偶然にこの弁当を見つけ、思わず予約してしまった。生の魚が入っている弁当は日本で初めてらしく、たたきは直前まで冷やしてあり、底には保冷剤が敷かれていた。ひんやりとしたたたきをねぎとにんにくを薬味にポン酢でいただいた。さっぱりしててめっさうまかった。これは駅弁の枠を越えている。高知駅ではもうこれしか食べられない!こういう駅弁を作ってくれたもてなしの心も嬉しかった。ありがとう、安藤商店さん!
 窪川からは予土線に乗った。予土線四万十川に沿って走っている。乗ろうとした電車がトロッコ列車であることがわかり、急遽指定席を取った。始発駅の窪川では通常の車両にトロッコが連結されていた。貨物車にホロを被せただけで開放感が凄かった。トロッコに乗れたのは土佐大正から。ほとんどの客がトロッコに移動。数えると26人いた。ほとんどが子供を連れていた。独りは私くらいなもので同業者も1人いるかどうか。トロッコの臨場感は抜群だった。吹き抜ける風とレールからの振動&音。鉄橋を渡ると金属音が響き、トンネルをくぐるとひんやりと涼しかった。線路は山の間を蛇行する四万十川を直線に貫いた。人家がほとんどない山奥に高規格な線路、バラストには草が生え、鉄橋は錆びていた。本来ならスピードが出せる区間のはずなのにトロッコがゆっくりと走っていく。かつて地元の悲願だった鉄道は、今や観光鉄道となって生き残りを図っている。時間の移り変わりは残酷だ。そんな無常感に私は思いっきり萌えてしまう。人間の営みとは対称的に、四万十川の水は昔から変わらぬエメラルドグリーンに輝きとても澄んでいた。険しい山々は人間の侵入を拒否してきたようだ。ところどころに沈下橋がかかっていた。増水時には沈んでしまう橋だ。最後に出てきた沈下橋では、橋の上に上半身が裸の子供たちがいて、電車に向かって手を降っていた。次の瞬間次々とバック宙をしながら川に飛び込んでいった。まるで昭和の映画のワンシーンみたいだった。トロッコは江川崎に到着し夢のような1時間が終わった。予土線には今回で3度目のチャレンジだったが、乗る車両が違うだけでこんなに面白く感じるのか。そして、こんなに素晴らしい路線があったのか!
 宇和島では鯛めしを食べた。2年前に大学友人Sと食べて以来ずっと気になっていた。今回四国に寄り道をしたのもこれを食べたかったからだ。「とみや」は開いていた。念願の鯛めしはすごくおいしかった。でも、思ってたほどではなかった。実はそういうのは覚悟してた。本当は食べない方がいいんじゃないかと思ってたくらいだ。食べなければずっといいイメージを持ち続けることができるから。2回目だと感動が落ちるのはよくあることだ。最初と違ってかなり期待して挑んでいるし、舌も一度経験してしまってるし。それでも私は食べたいものを食べることから逃げたくはない。新しい感動を求めてこれからも歩き続けるだけである。
 宿泊は八幡浜だった。明日の朝にフェリーに乗るためだ。実は八幡浜からのフェリーには上野と乗ったことがあったり。駅は内陸の方にあり市街地まで20分くらい歩く必要があった。一昔前の町並みだった。宿は「スーパーホテル」。5980円は少し高いような?今日も着替えて走りに行った。太ももが軽い筋肉痛で屈伸すると痛かった。身体は重く今日も動かなかった。港の周りは何もなかったが、少し内陸に入ると巨大な商店街があって驚いた。思った以上に大きな町なのかもしれない。今日も40分走った。リンゴジュースがめっさうまかった。
 今日は高知から宇和島を経て八幡浜に泊まったわけだけど、この辺りって凄くワクワクさせられる。またいつかゆっくりと回ってみたい。来てよかった!