びーの独り言

どこいくの?どっか。

采配

采配

采配

 私はプロ野球が好きで、特に落合博満氏の発言に興味があった。どこかミステリアスなとぼけた発言がますます本当の意図を知りたいと思わせた。落合氏は選手としても監督としてもプロ野球史上多大なる成果を上げてきた。選手と監督の両方でこれだけの成果を上げたことはおそらく初めてではないか?この本は落合氏が中日ドラゴンズの監督を辞めてからすぐに出版された。おそらく監督時代には語れなかった戦術や考えが語られているのではないかと期待した。普段こういう本はきりがないので買わないようにしてるのだが、それでも読んでみたいと思う気持ちに抵抗することができなかった。
 最初読んだら意外にも普通に思えて物足りなかった。それが2 回目になると面白くて仕方なかった。こういうパターンが一番はまる。3回目はさすがに惰性だった。
 内容はプロ論である。徹底的に勝つという目的を追求している。選手には基本の大切さとルールを守ること、自発的行動を促している。
 けれど、本当に大切なことが最後に書かれている。名文なので紹介したい。「人生を穏やかに生きていくことには、名声も権力も必要ないと考えている。要するに、仕事で目立つ成果を上げようとすることと、人生を幸せに生きていこうとすることは、まったく別物と考えているのである。やりがいのある仕事に巡り合えないと思っていても、だから不幸というわけではない。反対に会社で順調に出世しているからといって、それで人生がすべて満たされるわけでもない。ましてや、人生の素晴らしさは、誰と比べて幸せだから、というものではない。大切なのは、何の仕事に就き、今どういう境遇にあろうとも、その物語を織り成しているのは自分だけだという自負を持って、ご自身の人生を前向きに采配していくことではないだろうか。人生には、仕事であれ家庭であれ、自分以外の人間と少なからず関わりがあり、それによっていい思いもすれば、悔しさを噛み締めることもあるだろう。だが、自分の人生を采配できるのは、ほかならぬ自分だけであり、そこに第三者が介入する余地はない。ならば、一度きりの人生に悔いのない采配を振るべきではないか。」。