びーの独り言

どこいくの?どっか。

論理の方法

論理の方法―社会科学のためのモデル

論理の方法―社会科学のためのモデル

 小室先生は橋爪先生の「宗教社会学入門」で紹介されていて橋爪先生の師匠にあたる。wikiによれば、小室先生は数学から始まり経済学、社会学、心理学など幅広く色々な分野を研究したようだ。変人ぽいところがあったようで、生涯独身を貫き「エロ本は飯を食わない」という名言を残した。この本ではない別の本を探していたのだが、どこで見ても取り寄せだった。そんなときこの本が三省堂に平積になっていた。
 内容は「宗教社会学入門」を口語調に直したような感じだった。独特の口調で難しいことをわかりやすく説明してるのだが、逆に説明不足と思われる箇所もあり、おそらく「宗教社会学入門」を読んでいないと難解だったかもしれない。
 粗筋を書くと、ホッブスとロックから始まりアダム・スミスケインズの説明になり、カルバンの予定説から資本主義が生まれ、日本の天皇制も予定説だと説く。題名「論理の方法」からイメージされる内容からはほど遠い。
 全編に渡りマックス・ヴェーバーの宗教社会学をベースとした分析がなされている。各年代の倫理観などが頻繁に登場しその変遷について記述されているが、昔の書物にこんなことが書いてあるという証拠だけでは、都合の良い部分だけをつまみ食いしてるような印象を持った。この本が世の中の通説をきちんと反映しているかどうか、それともただの一つの学説であるかは教科書的なものを勉強してきちんと見極めないといけないと思う。
 印象に残った部分をメモっておく。「資本主義には3つのポイントがある。労働は神聖、目的合理的判断、利潤は正しい。日本には本当の資本主義は根付いていない。目的合理的判断、すなわちビジネスライクに判断を下す部分で、情が入り込んでしまっている。またどこか金儲けに対する罪悪感がある。」「政教分離のように国家と個人の善悪を判断する基準は分離しなければいけない。日本では国家が個人の価値観にまで入り込んでいる。会社組織を見ると上司と部下の関係は本来はビジネスだけの関係であるはずなのに上司は心まで支配しようとする。」「日本では天皇を神とする"日本教"が支配している。これはキリスト教と同じく一神教である。善悪はキリストが決めるように天皇が決定する」
 3回読んだ。なるほどと読み進めていたが、途中からどうでもよくなってきた。というのは、文化の違いの分析は面白いのだが、いくら語ったところできりがないと思ったのだ。小室先生については、元々探していた本も読んで判断しよう。