びーの独り言

どこいくの?どっか。

幻の北海道殖民軌道を訪ねる

 東室蘭のキオスクで買った3冊のうちの1冊。旅行者を狙い打つ北海道関連書籍に私は弱い。何も帰るタイミングで買わなきゃいいのにとも思う。この本は交通新聞社新書という鉄分が濃いところから出されている。いくら新書ブームとは言えマニアックすぎるのでは?
 北海道の廃線跡で通常紹介されているのは国鉄関連であるが、殖民軌道をたどった例は知らなかった。殖民軌道とは北海道に入植するときに物資を運んだ鉄道である。車が発達する前は鉄道でいろんなものを運んでいた。通常より規格の劣る軌道であり、動力として馬やガソリンカーを使っていた。昭和47年を最後に絶滅し、痕跡も消え資料も少なくなっている。マニアックすぎて怖いという思いと、どんなことが書かれているのかという期待感があった。
 殖民軌道の探索では事前に資料を調べるところから始まる。この著者はサラリーマンであり、普段の休みは調査に費やしていたようだ。また、限られた休みを有効に使うために綿密な計画を立てていた。移動は基本的に輪行。飛行機またはフェリーで北海道に渡り、JRとバスと自転車を組み合わせて目的地を回る。バスまで計算に入ってるのが素晴らしい。内容は殖民軌道巡りだけではなく郵便局巡りも入っていた。殖民軌道巡りは結構あっさりしており、へたをすれば郵便局巡りの方が力が入っていた。
 本書にフューチャーされているのは長年の活動のうちで5年分である。日記形式になっており、臨場感や心情がよく伝わってくる。付属の地図がいい味を出していた。これがないとどこをどう移動したかわからなかっただろう。軌道巡りは地元の人への聞き取り調査がメインだった。なんだかんだ覚えている人が見つかったりするのが面白い。一昨年に私が行った奥行臼が出てきて懐かしかった。宿の予約が当日の飛び込みばかりだった。私よりこの人の方がひどい。宿の様子も細かく描写されてて面白かった。とほ宿も登場して思わずニヤリとした。
 面白すぎてわずか2日で読了。多少文章にわかりづらいところが見受けられるが、ありのままを表現しており、情熱や感動をストレートに伝えている。宮脇氏に匹敵する内容であり、続編を強く熱望する。