「世逃げ」のすすめ

「世逃げ」のすすめ (集英社新書 435C)

　ブックフェアで買ったひろさちやの２冊目。「「狂い」のすすめ」の続編。　
　現実世界からの逃避を勧めている。例えば、暑いから苦しいと感じるのではなく、暑さそのものを受け入れ楽しもう。思うようにならないことで嘆き悲しむより、そういうのは諦めなさい。意味のある努力か、意味のない努力かを見極めなさい。その結果、必要な努力であり、人を傷つけることなく、精神的に満足が得られるのなら、努力すべきだ。
　前作の印象が強すぎて、似たようなことが書かれてる印象であった。どうやら一番のポイントは、世間の物差しを捨て、仏の物差しを持ちなさいということである。世間の物差しでもって勝った負けた言うより、勝ちも負けもなくただ楽しめということだ。
　前作と合わせて私にとってすごく納得のいく内容だった。私にとって都合のよいだけなのかもしれない。人生の半分を過ぎたからこそ、共感を覚えたのかもしれない。今までは未来という担保があった。頑張れば夢が叶うと思っていた。しかし、もう先が見えてきた。右肩上がりだった勢いは下り坂にさしかかってきた。衰えていく自分に対する絶望感、そういう感情に耐えるには発想の転換が必要だ。苦痛に心奪われるより、心から苦痛を追い出そう。どんな状況でも受け入れ諦め、そして楽しむことが大切だ。