びーの独り言

どこいくの?どっか。

2006/12/19(火)「監査」

 主要顧客が品質監査にやってきた。今年の初めにボコボコにされている。いろいろな客が監査に来るが、その中でも最高級レベル。例えば、「トイレに行ったら何回手を洗うかまで管理しなさい」みたいな。うちみたいな証拠は残さず失点は抑えてみたいな社風には全くマッチしない。モラルが崩壊してるような職場で、最高級の管理なんて、概念の咀嚼すらおぼつかないわけで。トップが推進するのがスジだが、みんな逃げている。よって下っぱに丸投げされ。システムを変えようとしても、人は変わりたがらない生物。なんだかんだゴネられると、権限なけりゃ説得できない。持久戦に持ち込まれるとアウト。つきあってる時間的余裕がない。これは最高級に難しい仕事だ。それでもやらねばならない。
 会社間のやりとりでは文化の違いが表面化する。下っぱ担当者はよく板挟みに遭う。例えば、「ばらつき管理してますか」という問いに対して、うちの業界だとR(最大値−最小値のこと)だと思っている。最悪の場合、Rという記号すら知らない。世間一般では、一歩進んで標準偏差σを使うのが常識だ。ましてや、管理図で2σを限界線にするとか、管理図の波形で異常判定するなんて、誰も知らないだろう。これらの内容は難しいので、自分で調べようとしない人に、説明して理解させることは不可能である。因みに、研究所関係者のために正しい答えを書いておくと「うちはランダムサンプリングできないのでσ管理できない。したがって、Xバー(平均のこと)−R管理してる。」となる。意味がわからなかったら勉強してくださいねw。私に言わせりゃ、正しい方法で測定できてないので、ばらつき管理以前である。物事には順番があるのだ。
 監査自体は問題なく進んだ。今年の初めで厳しくしておいて、今回で優しくするみたいな雰囲気。おそらく合格前提だったのだろう。特殊品の場合、簡単には客を切れないのだ。特殊品では覇権を握るのは部材メーカーだと言われている。そういう意味ではうちは優位な立場にある。ただし、特殊であり続けるためには他社の参入を許してはいけない。他社の参入を許さないためには技術力で勝負しなければならない。そのために測定の基礎から見直しをかけている。私には、基礎がしっかりしてないといい製品はできない、との信念がある。ただ、工場関係者の理解が得られにくいのが悩みの種で、このことについてはまた書く機会があるだろう。さて、通過儀礼は無事に終了した。これでスタートラインに立ったわけだ。今後は開発での戦いになる。いくらごまかしても製品はウソをつけない。来年はようやく研究所ぽい仕事になってくるぞ。