今日も朝からパイロット試作だった。それとは別に部長に稟議書を見てもらわなければならなかった。部長に文章を直してもらうのは初めてだった。好感触とは言えイヤだなと思いながらも提出すると、部長は笑いながら「見とくよ」と言った。
昼イチで修正を指示されたが、見事に真っ赤だった。文章にはまったく修正が入っておらず、後でもう一度修正が入るのは確実だった。今日中に直すと約束した。
現場で立ちながらパソコンに向かった。もはや試作の流れはわからなくなっていた。夕方に成果物を提出した。
部長は帰り際に「修正しといたから」と笑いながら言った。メールには真っ赤な字で新たな文章が完成していた。結局、オリジナルは99%失われていた。提出から修正までが30分もなかったので、きっと私の稟議書が届く前に書いてたのだろう。
Mさんが言った。「大変だろ？俺なんか「ダメだ」の一言なんだから」。確かにこれはMさんが部長に反発したくなる気持ちもわかるような気がした。もしかすると、部長もそれを反省して私に笑顔で接してるのかもしれない。
結局、Mさんが「付け加えろ」と言った部分は全部削ぎ落とされた。部長がいくつか足した部分は想定の範囲内。あとは今までの悪代官への報告の流れに沿う感じ。
昨日、部長は「そんなん考えるなら、他のことやった方が前に進むから」と言っていたが、結局、半日修正に明け暮れることになった。ちょっとなあ、と思わなくはないが、とりあえずついていくしかない。
