びーの独り言

どこいくの?どっか。

北の無人駅から

北の無人駅から

北の無人駅から

 この本は池袋のジュンク堂の鉄道コーナーで見つけた。他の鉄道本と比べると明らかに分厚くて異色だった。題名にも魅かれたが、カバーの写真がとても印象的だった。買ったのは2012年だったはずだ。なぜなら2013年の正月「あら鷲」で旅人さんとこの本の話をしたから。そのときは途中まで読んでめちゃくちゃ面白かったのに挫折していた。持ち歩くには重すぎたのだった。あれから私はほとんど旅に行かなくなった。それと入れ替わるようにしてNさんと昼飯を食べるようになった。後からNさんは強烈な乗り鉄だということがわかった。Nさんは最近廃止されたり廃止予定である小幌も増毛も白滝も回っていた。確かこの本にはそれらの駅が取り上げられていたはず。私も想像上の旅に出たくなった。
 この本では小幌、茅沼、新十津川、北浜、増毛(&雄冬)、奥白滝が出てきた。その駅にまつわる歴史から、そこに住む人がどうやって生活していっているのかが、だいぶ詳しく生々しく描かれていた。作者はあとがきにて無人駅ではなく人を書きたかったと綴っていた。文章は丁寧であり、飾り気は少なく、関係者に迷惑をかけないように考え抜かれていた。人間の本質を見極めようとしているが、根底に流れるのは人への敬意であった。特に印象に残ったのは「どうして雄冬に住んでるのか?」という問いかけだった。それは私もずっと思っていた。こんな寒くて不便な場所に?それに対する住民からの切りかえしは衝撃だった。「あんたはなんで札幌に住んでるんだ?」。自分にとってのベストが必ずしも相手のベストではないってことと、住む場所に関してはなりゆき上住んでるだけで必ずしもベストだと思ってないことで、ダブルで殴られた感じだった。いろいろ考えさせられるところが多かった。