びーの独り言

どこいくの?どっか。

2013/09/14(土)「南九州1」

 起きたのは出なりで5時半だった。風呂に入ったり、身支度を整えた。6時半に熊本駅まで駅弁を買いに行った。まだ開いてなかった。「東横イン」に戻って調べると7時から開くとのこと。7時過ぎてもう一度駅に行っても、まだ開いてなかった。諦めて「東横イン」の朝飯にすればいいのに、どういうわけか側にあった「吉野家」への衝動を抑えきれず。旅行に出てるのにそれはないだろと思うのに、どんなものよりおいしかったりするから困る。「東横イン」に戻り、溜まっていたカロリー計算したら、ただでさえ旅行中は食べ過ぎてるのに、牛丼特盛だけで1000kcalを越えてるではないか。さすがにやりすぎだろ。
 出なりにしたのはとある資料館の開館まで時間があったためである。荷物をコインロッカーに預けて、熊本駅のホームに行くと、行き先案内板に「SL人吉」と表示されていた。全然知らなかったので驚いた。こんなチャンスは滅多にない。すぐに計画を変更していた。みどりの窓口で指定を聞くと、幸運にもまだ空席があった。入れたばかりのコインロッカーから荷物を回収し、ホームへ向かうと、さっきはいなかった客車が停まっていた。その先頭にはSLが。SLは小ぶりだったけど、ピカピカに磨きあげられてどこか誇らしげだった。客車の中に入ると、木目の内装が施され、のれんやコレクションケースなどがあった。明らかに水戸岡鋭治氏のデザインだった。
 0944にSL人吉熊本駅をゆっくりと出発した。あまりスピードを出さずにのんびりと走った。ガイドさんによれば、沿線の人に手を振ってくれるように頼んでいるので、皆さんも手を振ってください、とのことだった。そのために、黄色い紙に手のひらの形が印刷されたものが用意されていた。私はふーんくらいにしか思わなかった。どちらかと言えば、ビュッフェで地ビールを売ってるという言葉に、早速地ビール2本とつまみを買って一人で楽しんでいた。それだったら別にSLじゃなくてもいいのではないか?
 八代を越えると肥薩線に入った。八代から人吉までは川線と呼ばれており、ひたすら球磨川沿いを走る。相変わらず球磨川はエメラルドグリーンに美しく光っていた。眼下に車道があって、そこにはSLに寄り添うようにダークブルーの車が走っていた。一人のおじさんが乗っていた。SLを見てるのかなと思った。その車が再び現れたときに驚いた。なんと運転しながら黄色い紙を振っていたのだ。スゲー。めっさテンションが上がった。車内も騒ぎ出した。すると、また車が消えた。どっか行ってしまったのかなと思ったら、今度はさらに衝撃だった。黄色い紙ではなく大きなくまもん人形を振っていたのだ。車内では大ウケだった。坂本駅に停車したとき、ガイドさんに聞いてみた。何年も前から毎回やってるらしく、しかも人吉までついてくるらしい!心地よい感動を覚えた。このおもてなしはすごい。なぜこういうことをやろうと思ったのかぜひ聞いてみたいと思った。これは映画になる!すると坂本駅を動き出すとおじさんがホームの一番前で黄色い紙とくまもん人形を振っているではないか。やられた!白石駅でも同じだった。一勝地駅ではおじさんの他におばさんが増えていた。あれっと思ったら、おじさんの車の後ろに緑の車がついてきてて、やはり黄色い紙を振っていた。すごい。こんなドラマを見せてくれるなんて!SL人吉最高!
 終点人吉には絶滅寸前の立ち売りのおじいさんがいる。迷わず大好きな「くりめし」を買った。おじいさんはSLの機関士さんたちと仲よくしゃべっていた。SLはバック運転で格納庫に戻って行った。駅の裏側に回りSLを見に行こうとすると、ダークブルーと緑の車が停まっていた。でも、中には人影はなかった。格納庫のSLは既に客車と切り離されていた。もう少し先にある転車台を見に行くと、電車区の中に、簡単な資料室があった。そこのおじいさんに、転車台を使うのはいつかと聞くと、次の電車には間に合わなかった。残念。でも、また来る口実ができた。
 1321の「いさぶろう」で人吉を出発した。いつも喜んで乗っていたが、もう何度も乗っているし、今回はSLでお腹がいっぱいだった。車内サービスを見ていると、以前よりあっさりしてた。前は乗車記念とかパンフレットを個別に配ってたし、車内販売もジュースとかもあったし、それからスピードを落とす箇所もたくさんあったし。いつも進化してたのだが、ついにやりつくしたのかな?日本三大車窓はもやがかかっていてイマイチだった。せっかく撮った写真を間違って消してしまったが、特に悔しくもなく。
 18切符ではないので、吉松からは特急「はやての風」に乗った。「いさぶろう」のほとんどの客を、強制的に特急に乗せて鹿児島までの料金を稼ぐ仕組みである。熊本から鹿児島までが一つのパッケージとなっているわけである。なかなかJR九州も考えてるなと思う。
 鹿児島中央に着いたのは16時半くらいだった。そのまま市電に乗って天文館へ。17時半「黒福多」。前においしかったところ。2回目でも想像を越えるおいしさだった。これは本物だろう。19時に店を出てからが大変だった。まったくホテルが見つからなかったのだ。片っ端から聞いて回ったが、どこもかしこも満員だった。市内は火山灰でほこりっぽかった。歩道の隅には灰が散らかり、あちこちにビニール袋に入れた灰が集められていた。道行く人の一部は、マスクをし、傘をさしていた。鹿児島らしいと言うより、汗と灰で風呂に入りたくなった。3時間後、ようやく鹿児島中央駅の近くのネカフェ「コミックバスター」に入れた。風呂はなかったけど、眠れるだけでいいと思った。思わず人吉で見かけた「夏目友人帳」にはまった。