びーの独り言

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日本人の人生観

日本人の人生観 (講談社学術文庫)

日本人の人生観 (講談社学術文庫)

 昨年のブックフェアで買った。著者は日本文化の有名な評論家。買ったのはいいが、堅いのでずっと敬遠していた。あれから1年、今ちょうど読みたいと思う本がなかった。40冊くらいのデッドストックを見渡したとき、禅が日本人の文化と関係があるなら、この本も何か禅と関係してるのではと思えた。
 内容は日本と西洋文化の比較だった。日本人は人間を自然の一部だと考えるのに対し、キリスト教では人間だけは特別だと考える。日本人は未来は今の延長だと考えるのに対し、キリスト教では今の世界は一時的なもので、必ず終わりがくると考えている。日本人は今が大事だと考えているので、明治維新終戦のように世の中の価値観が変わっても、すぐに対応することができる。また平気で教科書を墨で塗り潰して、過去のことをなかったことにしたりする。キリスト教だと、未来になりたい自分を想像し、そのためには今どうしたらいいか考える。教科書の本文はそのままにしておいて、どんどん注釈を加えていく。江戸時代の文章はほとんど読めないが、英語はかなり昔の文章でもそのまま読める。このことより日本は時代と共に変わっていってることがわかる。キリスト教だとすべてを越えたところに神がいる。日本人の神はいなさそうに思えるが、実は直上の上司である。日本の昔の法律はそのまま生活様式と一致していたが、西洋の法律が持ち込まれて法律と宗教感の解離をもたらされた。
 私が衝撃を受けたのは、上司が神である部分だった。いつも私はいろんな職場で上司と揉めてきた。自分が正しいと思ったことを主張すると、ほとんど「いいから従え」となった。私の神はおそらく自分自身。上司の存在は乗り越えていくものだと思ってる。だから、この会社のどこの部署にいってもうまくいく気がしないのは、そういうことなのかと思うわけで。
 ちょっと文章が堅くてコンディションがよくないと読みにくかった。ちょうど夏の旅行前に、2回でもういいやとなった。こういう話は出尽くしていると思っていたが、さらに一歩深く踏み込んでいたのでとても驚いた。完全に上級者向けだ。