びーの独り言

どこいくの?どっか。

橋爪大三郎の政治・経済学講義

 橋爪先生の「世界がわかる宗教社会学入門」「はじめての構造主義」に続く第三弾。「丸善」で買った2冊のうちの1冊。もう1冊の「橋爪大三郎社会学講義」とセットになっている。15年くらい前のエッセーを集めたものを再編集している。3回読んだ。実はもう1冊の方も1回読んでいる。
 思い起こしているのだが、印象と言えば、前の2つが神がかっているくらい面白かったのに対しては見劣りした。それは15年前の文章であるからだろうか?今更オーム真理教のことを分析されてもなあ、って感じ。私は寄せ集めよりは書き下ろしが好きみたい。寄せ集めは文字数に制限があるためか、各項目における文章のウエイトが中途半端。それと、理解できない箇所も多くて。おかげでよく眠れた。
 それでもマルクスのくだりは面白くて、国内は大企業どうしの争いになり、国内が飽和すると海外に進出して国どうしの争いになり、やがて労働者が立ち上がって社会主義になる、なんて予言がされていたとするなら実に驚くべきもんだなと思う。社会主義が崩壊して、冷戦構造が変わって、中国が台頭してきて、新たな世界の枠組みが必要となる中で、たまたま世界2位を走っていた日本はこれからは没落していく、なんてのも冷静な分析だと思う。自分たちで法律を作ってないから、日本は民主主義国家じゃない、憲法を自分たちで変えてもいいんだよ、なんてのは小学校の教科書に書くべきことじゃないかな。確かに終戦後にアメリカに押し付けられたイデオロギーなのかもしれない。戦争はいけないとか非核三原則は当たり前だと思ってたよ。日本って自分で目標設定ができないんだよな。ご指摘のとおり会議は合議制で、責任の所在がきわめて不明確だ。それから正しいとか正しくないとかじゃなくて組織の存続のために働く。存続がダメだとわかっていても破滅まで突っ走る。自分から変わることができない。それが国際的な常識で見るとおかしいという。確かに鋭いんだよなあ。
 まあまあだけど、飽きちゃったのかなあ。今後読むことはないだろう。次回は「橋爪大三郎社会学講義」をレビューする。