びーの独り言

どこいくの?どっか。

2009/01/03(土)「旅行⑧」

 この旅のクライマックス。新見−米子−宍道−備後落合−新見−岡山。
 伯備線は主要な陰陽連絡線であり倉敷と伯耆大山を結んでいる。ほとんどの列車は岡山から米子を直通し、特急やくもが1時間に1本設定されている。新見は伯備線のちょうど中間駅、中国山地の真ん中に当たる。まずはここから北へ向った。朝早い列車にも関わらず、クロスシートは埋まっていた。仕方ないのでロングシートに座ったらすきま風が酷く、2時間近くぶるぶる震えながら足をさするはめに。この区間では日本海に注ぐ円山川に沿っていた。ここも山間部らしく雪を被っていたが、最初は珍しいと思った雪にもすっかり慣れてしまった。
 米子と宍道の間は二度目。一度目で書き忘れたが、ここの景色はかなり良かった。それは宍道湖が一望できるからである。日本海と違い、真っ青で静かな湖面がずっと続いている。穏やかでのんびりした景色だ。
 宍道という小さな駅から木次線が分岐してる。宍道中国山地の備後落合を結んでいる。今回の旅では、この線に乗りたかった。それは有名な三段スイッチバックがあるからではない。ここの出雲横田と備後落合の間はわずか3往復しか設定されていないのだ。3往復と言えば、現在JRで一番少ない本数で、過去に岩泉線(岩手和井内−岩泉)と札沼線浦臼新十津川)はクリアした。芸備線(備後落合−東城)についても今回セットで狙った。3往復に萌える理由は、早く乗らないとなくなる、ということである。もはや3往復など鉄道としての使命を終えているように思えるのだ。代替交通機関がないという理由をつけているが、そんなことはないだろう。鉄道を通すより道路を通す方が楽なように見える。さて、宍道1119発はなぜか2両編成で、しかも座席が埋まるほど満員だった。宍道を出発した電車はいきなり高度を稼ぎ始めた。モーターのうなり音が響いた。景色は雪化粧の川と山。あんまり民家はなかった。唯一開けてるのが木次で、この線名の由来にもなっている。でも、木次なんてマイナーもいいところだろう。一応、若干の乗降があった。出雲横田駅では車両切り離しで1両になった。客はほとんど減ってなかった。彼らはどこに向うのだろう?出雲坂根駅は三段スイッチバックで有名な駅。駅にはスイッチバックの絵とそれに続くトンネルが数個描かれていた。スイッチバックはわかるが、なぜトンネルまで書かれてるのか不思議だった。客は10人くらいはマニアだったみたいで、駅に設置されてる延命水を汲んでいた。スイッチバックが始まると、それまで座っていた客が立ち上がって様子を伺っていた。私も運転台の横に陣取った。2回スイッチするだけで、ずいぶんと高度が稼げるもんだ。そのまま進むと右側のかなり上方に道路橋が見えた。昔、ここは木次線しかなかったのだが、近年おろちループというのができて、木次線から眺められるらしい。車内放送が流れた。「これから電車は高度を上げ、あの橋を見下ろします」「えっ」、思わず声が出た。電車と橋の間には谷があり、これから進んでいく前方にはどこから見ても山だった。そのとき駅に描かれていたトンネルを思い出した。なるほど、電車はトンネルをいくつも通過していった。これは肥薩線のパターンと全く同じ。気がつけば、本当に橋を見下ろす位置まで来ていた。絶景が広がっていた。日本三大車窓と同じくらいのレベル。期待してなかっただけに感動も大きかった。次の三井野原駅JR西日本で一番高度が高い駅だった。
 備後落合は芸備線との接続駅で昔は賑わったみたいだが、今じゃ廃れまくって無人駅。三次方面と新見方面に分かれる。閑散区間の新見方面へちょうど接続が良かった。客はやはり満員だった。カーブが多く電車はすごく遅かった。東城まで誰も乗り降りせず。そりゃ3往復じゃ無理だ。東城からは人が乗ってきた。そのまま新見へ。
 新見からは朝とは違い伯備線を南に向った。今度は高梁川に沿っていた。高梁川の方が河岸段丘が発達していて路盤はしっかりしてそうだった。
 宿泊は岡山の「東横イン」。旅ランは繁華街を避けて運動公園へ。繁華街を走ると誰かに必ず指を指されるのだw。飲みは瀬戸内料理「飛鳥」、母方の実家が岡山だけあって、岡山名物にはあまり興味はなかったが、それでも飲むんだった地のものがいいかなと思ったわけで。鰆刺を食べた。鰆の刺身は珍しく、はまちをあっさりさせたような味だった。正月だからということでサービスでままかりを3匹いただいた。普通さばいてあるが、これは丸々酢漬けにしていた。頭からかぶりつくと見た目よりおいしかった。おかみさんと色々話しをした。最初、旅行話だったのが、段々娘さんや息子さんが結婚しないんです、みたいな話になっていった。その流れでおかみさんの馴れ初めまで聞いた。最後には今年はいいことがあればいいですよね、ということで締めた。いつのまにか24時を回るほど盛り上がった。旅は食べ物より地元の人と話すのが楽しい。