びーの独り言

どこいくの?どっか。

2022/04/24(日)「京都」

 8時起床。遅い時間にビックリした。外はとても暗かった。8時半に出発。雨が降っていた。青紅葉は雨が降っている方が面白いと思った。今日は妙心寺が目的だった。
 京福電鉄四条大宮駅から帷子ノ辻乗り換え、妙心寺下車。15年前に滋賀を離れる時に、JR円町駅から歩いて偶然たどり着いたのが、妙心寺だった。当時、名前もまったく知らず、寺にもまったく興味はなかったが、中に入った。建物が大きくてその規模に驚いた。再びここに来たのは、国宝があったから。こないだ仁和寺に行った時に行きそびれていた。
 9時半、妙心寺北総門。詰所に警備員さんがいて、案内図を30円で売っていた。案内図だけ売ってるのは初めて。案内図を見ると、妙心寺には46もの塔頭(たっちゅう)があるとのこと。こんなに塔頭があるのは初めて。石畳の道の両側に立派な門を構えた建物が並んでいた。寺町と同じイメージだった。塔頭のほとんどは非公開で、門の隙間からは建物と整備された青々とした庭が見えた。坂本が重要伝統的建造物群保存地区に指定されているのなら、こっちこそ指定されるべきだと思った。
 940、大法院。特別公開。特別公開と言葉に弱いw。800円で抹茶と饅頭付き。露路庭という茶道の庭園があった。庭はよく整備されていて、緑色の紅葉が緻密な計算の元に配置されていると考えられた。畳の上に敷かれた赤絨毯に庭の方を向いて胡座をかくと、若い兄さんが抹茶と饅頭を持ってきた。お兄さんは正座をして頭を下げて去っていった。改めて縁側越しに庭を見ると、幾重にも重なる紅葉が雨に濡れて、曇天からの光に鈍く照らされていた。しとしとと雨が降っていて、雨の降る音と水が流れる音が絶え間なく続いた。時折、鳩が鳴いたり、何の鳥かわからない鳴き声が聞こえた。饅頭と抹茶をいただいた。パンフには且坐喫茶(しゃざきっさ)と書かれていた。「まあ座ってお茶でも召し上がれ」という意味らしかった。景色も相まって饅頭も抹茶もとてもおいしく感じられた。ここには余計なものがまるでなくて、それでいておもてなしの心があった。私が追い求めた理想のシチュエーションがあった。ただただ素晴らしく夢のような時間だった。
 10時半、南総門。15年前はここから入場した。南総門の前の道はなんとなく見覚えがあった。大きな赤い三門を見てきっと大きいと思ったと思う。
 1045、妙心寺退藏院。600円。国宝瓢鮎図(ひょうねんず)のレプリカがあった。日本最古の水墨画らしい。「鮎」は鯰を表す。瓢箪で鯰を捕まえる公案を図示しており、そこにはたくさんの僧による回答が書かれていた。瓢箪と鯰の組み合わせがユーモラスだった。
 退藏院には元信の庭という枯山水の庭があった。さっきの大法院の景色が素晴らしすぎて、白砂の景色がすっかり見劣りしてしまった。またお客さんが一眼レフで写真撮りまっていて、隣の部屋からは木魚の音と般若心経の読経が聞こえて来て、落ち着いて楽しめなかった。
 1115、大心院。公開されているはずだが、何の案内もなく、入っていいのか迷う雰囲気だった。おばさんが出てきて、申し訳なさそうに「今日はお堂は見学できなくて、庭だけでいいですか?つつじが咲いてますよ」と言われた。300円。イヤな予感がした通り、赤いつつじが咲いてはいたものの、規模が小さく大したことなかった。6分で撤収。
 11時半、桂春院。400円。ここの庭も大法院ほどではないけど、素晴らしかった。大きな紅葉の木があり、葉っぱの緑色が美しかった。また一面緑色の景色の中で、つつじだけが赤く咲いていて、アクセントとなっていた。縁側に立派な座椅子が配置されていたのが嬉しくて、いつまでも座ることができた。雨の音をBGMにブログを打った。とても贅沢な時間だった。
 1240、妙心寺。受け付けには「13時までお待ち下さい」と札が出されていた。初めて見るパターン。方丈は無料だったので拝観した。狩野探幽の襖絵に囲まれた大きな部屋の奥に、阿弥陀三尊像。仏像としては特に目新しいとこはなかった。
 13時に受付で700円払って参拝開始。大庫裡。要は台所。今までも散々色んなとこで台所を見ており、今さら興味ないのだが?
 法堂。天井に狩野探幽雲龍図があった。物凄いでかかった。天井にこれだけ大きい絵は珍しかった。隅には国宝の梵鐘があった。黄鐘調(おうじきちょう)の鐘とも呼ばれる。天武天皇の時代に作られて、日本で一番古い鐘とのこと。今は撞くことはできないが、録音された音を再生すると、いつまでも余韻が残りいい響きだった。
 妙心寺駅に行き、1342の北野白梅町行き。北野白梅町で昼食を取ろうと店を探すとなか卯発見。なか卯の海鮮丼が今私のお気に入り。
 14時半、北野天満宮。大学友人Sのお勧め。修学旅行生がいた。本殿が国宝。ここも日光東照宮みたいw。
 思いがけず紅葉苑があった。500円。菅原道真の句碑があり「このたびはぬさもとりあえずたむけやまもみじのにしきかみのまにまに」と書かれていた。百人一首の有名な一句。これに因んで紅葉を植えたのだろうか?
 紅葉苑はそれは美しかった。先週の貴船なんて霞むくらい。まさに紅葉ばっかり。紅葉の中を歩いた。ただ茶室の洗練された紅葉とは違うんだよなあ。
 1510、宝物殿。1000円。高い!日本刀の特集。北野天満宮には、人を切った曰く付きの刀を納める風習があったらしい。関で日本刀の見方を頭に入れたはずだが、やっぱり波紋とかまったく興味なくて、日本刀の良し悪しがさっぱりわからなかった。
 片隅に国宝の北野天神縁起のレプリカが展示されていた。有名な菅原道真藤原時平の対立などが描かれている。思わず食い入るように見てしまった。日本刀なんかよりこっちの方が断然面白かった。
 1545、撤収。バスで京都駅。京都駅で晩飯用の駅弁を買って、家に着いたのは18時過ぎだった。
 今日は思いがけず紅葉を追いかける旅となった。本当は妙心寺には全然期待してなくて、嵐山に行くつもりだった。北野天満宮でも紅葉があるとは知らなかった。大法院の紅葉があまりにも素晴らしい体験だった。すべてのタイミングが重なった奇跡のように思えた。妙心寺禅宗であり、茶道との相性も良かったと思う。お茶を習うのも一つかな?