びーの独り言

どこいくの?どっか。

ルワンダ中央銀行総裁日記

 少し前に本屋に平積みになっていた。帯の文言が面白かった。「46歳にしてアフリカの小国ルワンダ中央銀行総裁に突然任命された日銀マンが悪戦苦闘しながら超赤字国家の経済を再建しつつ国民の生活環境を向上させた嘘のような実話」。
 最近の話かと思ったら1965年の話だった。ルワンダは、白人に暴利をむさぼられて健全な発展の機会を奪われていた。そこで著者は、ルワンダ人の生活を見て、何を望んでいるのかを調べ、ルワンダルワンダ人の手によって自立できるように、施策を次々に打ち出した。施策の効果は確実に現れた。言葉では淡々と綴られているが、まったく容易いものではないことだらけのように思えた。システムがきちんと機能した時のパワーは凄まじい。
 この本は美談として語られているが、後日談として、悲惨極まりない大虐殺へと繋がる。部族間の対立が引き金となり、隣国のウガンダの介入を許した。あまりにも不幸過ぎる出来事であった。もし、経済発展したことと関係があるとするなら、なんとも皮肉なことである。
 とても面白かった。これが実話というのが信じがたかった。まるで池井戸潤の小説のようであった。日本人の素晴らしい業績である。もっと有名になるべきだ。願わくばもう少し専門用語を説明して欲しかった。でも、それを差し引いても充分にお釣りが来る内容だった。