重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)
- 作者: 大栗博司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/05/29
- メディア: 新書
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会社に行くと机の上に置いてあった。こういうことをするのはTさんしかいない。そして案の定Tさんだった。この本も昨年の10傑に入っていた。重力の本が売れるのだろうか?
この本では、最新の重力の話が解説されている。著者は超弦理論を研究する第一線の物理学者。平易な言葉を使い、例え話を駆使して、一般人にもわかるように苦心している。
最初の半分は相対性理論と量子力学の説明。もう何度も読んだことがある内容なので退屈だった。
残りの半分が超弦理論の話題。ここからは先は今まで読んだことがない内容で、とてもエキサイティングだった。
物理での大きな課題は、場の統一理論を作ることである。今は相対論と量子論の融合が注目されている。相対論では、ブラックホールを記述する際に、有限の時間で無限の長さが生じるという矛盾がある。
ホーキングは相対論と量子論を使い、ブラックホールはマイナスのエネルギーを持つ、すなわちブラックホールからエネルギーが放射されることを見つけ、その際のエネルギーを計算した。
またホーキングはブラックホールでは因果律が破れる可能性も指摘した。よくわからないが、計算上時間がマイナスになってしまうのだろうか?これは科学の根底を揺るがす大問題だった。
超弦理論を使ってホーキング放射のエネルギーを計算すると、ホーキングの結果と一致した。また、ブラックホールでの因果律も成立することが証明された。超弦理論とは、物質を構成する最小単位を、従来のようなゼロ次元(点)で表すのではなく、高次元の弦の振動で表したものである。超弦理論では10次元のひもを考える。この10次元のひもの振動パターンでいろいろな素粒子が説明できる。この中にはまだ未発見の重力子も含まれている。
超弦理論では閉じた弦を考えていたが、そのうちに行き詰まってしまった。あるとき開放した弦で考えてみると、ブラックホールをうまく記述できることがわかった。これは、閉じた弦の重力を使っていないことから、量子論だけでブラックホールを説明できるということである。超弦理論はまだまだ発展中であるが、超弦理論がすべての説明に使えそうな感じである。
2回読んだ。3日くらいで読める。面白かった。wikiで補足しようと思ったら、さっぱりわからなかった。この本は、それだけよく噛み砕かれている。でも、一般人には難しいのではないか?科学好きにお薦めする。