今日も仕事はヒマだった。ただやることがないわけではなかった。実現性の乏しい事業を立ち上げなければならなかった。事業をやる気はまったくなかったが、技術だけには大いに関心があった。
操作法はすべて分厚いJISのハンドブックに書いてあった。細かい文字は老眼が始まったおっさんには辛かった。そこをなんとか根気強く読み解くと、学生実験を思い出して懐かしくなった。実験の基本操作にはなぜだか絶対的な自信があった。ずいぶん危ないことをやってきたから本質的理解はしているつもりだった。そういうのが怪我をするパターンでもあるので臆病さも忘れずに。
あまりに膨大な測定があるのですべてマスターすることはないだろう。私の仕事は誰かに引き継ぐことだ。