びーの独り言

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日本を追い込む5つの罠

日本を追い込む5つの罠 (角川oneテーマ)

日本を追い込む5つの罠 (角川oneテーマ)

 中野氏の「TPP亡国論」に触発されて店頭に平積みされているのを買った。この著者のことは全く知らなかった。次回紹介する中野氏の本と交互に3回読んだ。
 一つ目の罠はTPPに参加すること。TPPは経済協定のように見えるが、アメリカによる日本への政治支配に過ぎない。アメリカは金融が強くなりすぎて金融業界が政治家よりも力を持つようになった。アメリカが日本で狙っているのは関税障壁の撤廃ではなく、アメリカが得意とする農業やサービス分野における非関税障壁の撤廃である。国民健康保険や日本語などが非関税障壁にされかねず日本の文化が破壊されてしまう恐れがある。
 二つ目の罠は緊縮財政。ギリシャ危機に揺れるEUの国々は緊縮財政に走っているが、緊縮財政によりデフレが進んで不景気になる。緊縮財政は借金返済に役立つよりは税収入の低下を招くだけ。今やらなきゃいけないのは政府が金を使って景気を刺激することである。EUは通貨は統合しているのに政治的に統合できてない。経済と政治が分離しているから有効な金融政策が取れない。日本もデフレ脱却には緊縮財政に走るのではなく政府が大規模な公共投資などで金を使うべきだ。ここの論調はケインズ政策を取ろうというだけ。ケインズ政策には疑問を覚える。景気が悪くなろうとも消費は悪だと思う。経済というねずみ講が破綻しかかってるだけじゃないかなあ。
 三つ目の罠は原子力の推進。原子力を推進しているのは原子力の利権に群がっている人たちで、彼らはちゃんとしたデータを発表していない。原子力は危ないので太陽光発電を進めよう。ここの章は論理構成が弱い。原子力がダメで太陽光発電がコスト的に安いと述べられてるが、根拠は何も示されてないし、また太陽光発電は賞賛してるのに風力発電についてはボロクソにこきおろしていたりする。風力や太陽光発電にも利権はあるだろうし、データが信用できないと言われたら何の議論も価値がなくなる。単純に原発は取り返しのつかない汚染を生じるから止めるべきと言えば済むのでは?
 四つ目の罠はアメリカに隷属すること。民主党政権になって鳩山首相アメリカと中国と対等につきあっていこうとしたらアメリカが怒った。本来ならこのようなアメリカの内政干渉には反発しなければいけないが、鳩山政権はあっけなく倒れてしまった。また日米安全保障条約では日本のアメリカ軍基地は日本のために使うとなっているが、実際はアジアの国に睨みを利かすものである。アメリカは軍事産業の力が強く、冷戦が終わってしまい新たな敵を探している。日本はアメリカの基地があるために戦争に巻き込まれる恐れがある。アメリカはすでに昔のアメリカと変わってしまっている。いつまでも日本を守ってくれるかどうかもわからない。昔、アメリカが日本にパワハラしたから日米開戦になった。今後同じことはあるかもしれない。でも、現実問題逆らえるかとも言えるわけで。
 五つ目の罠は政治への無関心。政治への無関心が国を滅ぼす。そんなことを気にしても仕方なくないか?あのとき皆が小泉首相を支持していた。あのとき民主党を支持していた。でも、評価はどうだっただろうか?政治への無関心を国民のせいだけにするには酷だと思う。マスメディアがちゃんと伝えてないよな?
 最初は翻訳にありがちな硬い文章で読みにくかったが、2回目からは普通に読めた。内容は概ね中野氏の主張と同じであった。かなり似ているので、論理立てて構成していくとそういう風になるのかもしれない。この手のアレは読むだけきりがないようにも思えるが、読めば読んだで読み応えもあったりする。とりあえず感想を書いてみたが、表現するのがえらく難しく。