びーの独り言

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戦略ゲームのはなし

戦略ゲームのはなし―必勝のテクニック

戦略ゲームのはなし―必勝のテクニック

 大村氏の第14弾。池袋ジュンクで購入。以前からゲーム理論に興味があったので大村氏の文章に期待。
 いきなりまえがきで今までで一番強い衝撃を受けてしまった。今までとは違った堅くて真面目な文章に驚かされた。大村氏は数学の本を書いているが、実は航空幕僚長まで登りつめた人物であり、戦いのプロである。おそらくは一番造詣が深いテーマだと思われ、その文章も説得力のあるものになっている。少々長くなるが、下記に紹介する。
 「僅か1〜2年の間に、いくつかの国の体制が崩壊して昨日までの善が悪に、悪が善に変わったり、世界の経済地図や軍事バランスが変化して昨日までの友が敵に、敵が友に変身したり、人間社会の激動はまさに目を見張るばかり・・・、揺れ動きながら人間社会はいいほうに向かうのだろうかとの期待もなくはありません。しかし、醒めた目でじっくりと観察してみると、どうでしょうか。社会を動かす人間の性は少しも改善されていないように私には思えます。微笑みで牙を隠し、利用できる相手とは肩を組み、都合によっては簡単に裏切り、社会のため人のためのふりをしながら所詮はわが身かわいさのエゴは捨てきれず、陰に陽に、種類も性格も異なる大小さまざまな戦いに明け暮れてるではありませんか。悲しいことです。けれども、いつの日にか人間の精神が浄化されて争いがなくなることを期待するのは、百年河清を待つに等しいでしょう。当面は、ふりかかる火の粉をはらうための戦いは、是非もありません。いうまでもないことですが、戦う以上、勝たなければなりません。戦いに勝つには体力と気力だけでは不十分です。知力のない戦いは、前後左右の見さかいもなくおお太刀を振り廻す姿にも似て、非能率であると同時に、滑稽でさえあります・・・」
 内容は確率論の期待値からゲーム理論まで。よくあるゲーム理論の本と同じ内容だ。ただし何倍もわかりやすい。とても簡単な数学しか使わないので誰でも理解可能だ。この本はひたすら熱い。人生ゲームのエッセンスが全て凝縮されていると言っても過言ではないだろう。ゲーム理論を知らない人に超お薦めする。