びーの独り言

どこいくの?どっか。

パラレルワールド

パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ

パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ

 紹介済み「ビッグバン宇宙論」に触発され、三省堂でGETした。実は、ひも理論あたりがよくわかってなかったり。
 一般相対性理論は惑星などの巨視的な世界に適用できるのに対して、量子論は電子などの微視的な世界を扱っている。物理学者たちはこれらを統一しようとしているが、未だにうまくいってない。最近注目されているのが、ひも理論であり、ひも理論をさらに拡張したのがM理論である。素粒子の正体は11次元のひもであり、これらの振動によって素粒子の形態が変わるという内容らしい。振動の概念はギターの弦みたいで直感的に受け入れることができた。ただし、11次元を持ち出しているところが気持ち悪い。次元を増やせばなんでも説明できるんとちゃうの?アインシュタインの宇宙定数なんてかわいい話の方で、次元の違うマルチバースパラレルワールドが出てくると、もはやなんだかわからなくなる(汗)。暗黒物質ブラックホールやワープなどが熱く語られており、例えば、ビッグクランチになるまでに人類は別次元に退避できるかみたいな。結局のところ、数学的表記がそのまま理論になっているような気がする。計算式で導き出されたから正しいのだみたいなノリ。本当にワープなんてできるのかよ?別次元の存在って証明できるの?もはや数学=物理学。実際そう言ってる学者さんもいるもんな。でも、数式でやっちゃうと極端になってしまう。ちょっとした条件のブレで解なしか発散してしまう。だから、世界は微妙なバランスで成り立っているとの考えがあるらしい。これ人間原理と言う。人間が存在しているのは創造主がバランスを保っているからだって。どうしても神を作りたい人たちがいる。これって日本人にはわかりにくいが、ヨーロッパでは科学と宗教は切っても切れないということなのよね。もうね最新の物理学なんてSF以外の何物でもない。実際、SFの古典で指摘されてたことが本当だったみたいな事例も紹介されている。発想自体が物理法則だと言う学者さんもいる。意識できないことを越えて理解は不可能だとか。宇宙万物の理論を考えることは、自然と哲学にも踏み込むことになる。なぜ宇宙は存在するのかを考えることは、われわれはなぜ存在してるのかを考えることとほとんど同じだったり。本文には「利己的な遺伝子」のドーキンスの言葉が引用されており、「意図もなく働く物理的な力が支配する世界では・・・ひどい目に遭う人もいれば、幸運に恵まれる人もおり、そこに理由などないし、正義もない。われわれが目にしている世界は、根底に設計もなければ目的もなく、善悪もなく、ただ非情なほど意図を持たぬ無関心しかないとしたときに考えられる特性を備えているのである。」、ドーキンスは哲学的意味はないと主張しているが、私にはもっともショッキングな理屈を展開しているように思われる。この代わりに作者は次のように終わらせている。「人生の真の意味は、自分自身の意味を生み出すことにある。われわれの未来は、自分自身で切り開くものであって、どこか高いところにいる権威から手渡されるものではない。」、悠久の時、広い宇宙、別次元などと比較したら、われわれなんてほんのちっぽけな存在だけれども、内なるものに導かれできることを精一杯やるだけなのであると。
 この本は、わかりやすく平易な言葉で書かれているとされているが、予備知識なしで読むことはお勧めしない。中級から上級者向け。自分が考えているよりもずっと奇妙でエキサイティングな旅。当たり前の日常に飽きたら挑戦してみてはいかが?とても歯ごたえがある。