9時半、Yさんに電話した。Yさんにプライベートで電話するのは初めてだった。Yさんが転勤してから8か月が経った。仕事で心配をかけたくなくて連絡していなかったが、昨日の事件がありいてもたってもいられなかった。
Yさんがいなくなってからの理不尽さは半端なかった。使えないお姉さんは日本語が理解できない狂人だったし、菱沼さんは封印の解けた鬼のように破壊の限りを尽くした。他の人も訳のわからなさを競っている。Yさんがうまく全体をまとめあげていたことに気づき、改めてYさんの凄さを思いしらされていた。
8か月ぶりのYさんは相変わらず優しかった。あっという間に3時間が経っていた。「またかけてきていいよ」と言われた。それが嬉しかった。
一番の理解者がいなくなったのはあまりにも痛すぎたが、電話一本で繋がっているんだなと気づくことができた。装置を壊されて怒りに震えていたが、そんなのはどうでもよくなっていた。