隣の部署のT所長から四国の件について会議出席依頼が来た。そこの文面を見ると、仕事は東京でやるみたいになっていた。ハア?昨日聞いた話とはまったく違うのだが?元のメールの時間を見ると、夕方の5時だった。Sさんと話したのが午前中だったから、Sさんがなんとかしてくれたのかもしれない。会議の13分前に資料が届いた。この後もう一つの資料が届くと書かれていた。突然の会議だったんだろうか?
打ち合わせにはT所長、俺の大嫌いなT、Sさん、一緒に引っ張られたMさんが出た。液晶ディスプレイの向こうには四国が映っていて、俺の嫌いなYさんとIさんと誰かわからない何人かの影が見えた。なんだか暗い雰囲気に見えたのは画面のコントラストだけではないだろう。T所長とMさんと仕事で絡むのは初めてだった。どちらも仕事ができる人という印象だった。なぜ職域の異なるT所長が仕切っているのか少し違和感を感じた。会議が始まっても、今回何が起きているのかの説明はまったくなかった。どうやら四国が役員から厳しい叱責を受けて、テコ入れすることになったらしい。とりあえず月曜日までに技術的な進捗を報告しなきゃいけないみたいだった。おそらく四国は指揮権を剥奪され、T所長が立て直しの責任者に任命されたのだろう。私のことを嫌っている四国が私を指名するはずはないので、私を選んだのはGさんに間違いない。
13分前に届いた資料はA4で1枚。遅れて届いた資料はA4で5枚くらい。まとまりがなく、やっつけ感がものすごかった。最初の資料で何をやって欲しいかの説明が始まった。やることが決まってないということに驚いた。普通はやることを決めてから要員を配置するんじゃないの?とりあえず月曜日までに何をするかが話し合われた。T所長が「この土日はないな」と言った。えっ、俺も関係あるのか、と思ったら、四国の新所長が土日は出ない方向を提案してくれた。するとT所長が「少しでもデータ出さなアカンやろ」。月曜日という意味のない締め切りのために土日出ることに何の意味がある?精神論でモノができるなら、全員土日働けばいい。モノを作るより役員の顔色を伺ってるだけ。予想通り残念な集まりになることが容易に予想された。
私にはある技術的課題を調べて欲しいとのことだった。えっ、それって原理的に無理なのわかってるやん?そんなんで3か月四国に行くという話になるの?最初に言っとかないとヤバいので、原理的に無理だとはっきり伝えた。技術的な話でも否定的なことを言うと妙な空気になってしまう。仕方がないので代替案を調べますということにした。3秒で問題を片付けてもまったく褒められもしない。技術より面子が大切。そんなんで本当に立て直せるのかよ?
2つ目の資料にはこれまでの検討結果が書かれていた。圧倒的に実験が足りてないと思った。これじゃ怒られて当然だわ。手を抜きすぎて何も積み重ねがない。昔の宇都宮はもっと測定してたぞ。「パラメーターふったときのメカニズムを考えて欲しい」と言われた。ハア?それがお前らの仕事そのものだろ?「データはこちらで出すので解析して欲しい」。逆だろ?あまりわかってない俺が測定して、経験のあるお前らが解析だろ?全力で笑わせにきているとしか思えなかった。Tが例のどうでもいい細かい突っ込みをして、俺を痛め付けたようにIを公開処刑していた。お前は重箱の隅をつつくが、この会議がgdgdなことには突っ込まないんだな。弱いものしかいじめしかできない卑怯者め。
どうやら私の力が必要なのではなく、うちの部署の協力を引き出したいみたいだった。画面の向こうには私の言葉はまったく響いてないみたいだった。そりゃそうだよな。10年以上離れてた奴の言うことをハイハイ聞くようじゃ完全にお終いだよな。結局明日までに課題を整理してまた打ち合わせようということになった。なにそれ?ホント何のために集まったの?引っ越しの話も一切なかった。こんなにレベルの低い会議は初めてだった。大企業病の最終段階、デフォルト寸前のギリシャみたいだと思った。
廊下を歩いてたら女の子のTさんが立ち止まってこっちを振り返った。「何?」って聞くと、「四国行くんですか」と言われた。「なんで知ってるの」と聞くと、「四国で話題になってますよ。今部屋探してるみたいですね。」と言われた。そういえばTさんは以前この仕事をやっていた。四国では私が行く話しになっているのか。
Sさんを誘って「サイゼリヤ」で飲むのは当然の流れだった。Sさんには申し訳なかったが、自分的にあまりにもネタが香ばしすぎて。ここ最近になく盛り上がらせてもらった。