びーの独り言

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河童・或阿呆の一生

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

 芥川龍之介の晩年の作品集。結局35歳で自殺してしまうのだが、そのときどんな作品を残したのか気になったわけで。
 「大導寺伸輔の半生」「玄鶴山房」「蜃気楼」「河童」「或阿呆の一生」「歯車」、とにかく「ぼんやりとした不安」という言葉がぴったりの作品が並んでた。不気味なワードが並び暗い雰囲気が漂っていた。「河童」はおとぎ話風になってて面白い。「吾輩は猫である」と同じように人間の矛盾を指摘している。名作だとは思うが、ところどころ極端すぎる。後の2つは死後の発表なのだが、小説の体をなしておらず、プライベートなことすぎる上に説明不足も甚だしく。川端康成は絶賛してたみたいだけど、その領域に私が入ってないだけだろうか?そんな領域なんて理解したくないなあ。太宰は永遠の孤独に耐え切れずに死にたくてしょうがない感じだったが、芥川の場合はなんで死にたいのかはっきりとしなかった。
 本当に暗いというのはこういうのかもしれない。理屈ぽくない。あまりに感覚的だ。ぼんやりとしてとらえどころのないことで、返って不気味さが増長される。