- 作者: 伊藤計劃,redjuice
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/08/08
- メディア: 文庫
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以前から気になっていた。軽い本を探してたときに平積みになっていた。冒頭を読むと、過激な描写に眉をひそめたが、文章はきれっきれだった。気にしてるくらいならいっそ読んでしまおうと。
著者の伊藤計劃氏はこれがデビュー作であり、SF界に大きな衝撃を与えたとのこと。著者が夭逝していたことに興味をひかれた。もしかすると天才かもしれない。
主人公はアメリカの暗殺部隊の隊長。とにかく人が虫けらのように死んでいき、またその様子がやたらとグロテスクに描かれていた。言葉の装飾が激しくて厨二病ぽい造語があちこちに出てきた。よくもまあこんなにも創作できるものだ。あとはだいぶ哲学的であった。他人を殺し、死について考え、自分の生きる意味を考える。よくあるモチーフではあるが、そのノリがSFにしては重かった。あちらこちらにいろんな知識が出てきて造詣が広範囲に及ぶことを主張していた。まさかミームまで出てくるとは。誰が意味わかるんだよ?意味がわかんなくても雰囲気が出てたらかっこいいんだろうな。
細部に荒削りなところはあるが、一気に最後まで読ませる勢いがあった。ミステリーの要素はなく、どこに落ち着こうとしてるのかさっぱりわからなかったが、最後はどんでん返しで全然予想だにしないラストになった。でもね、ハッピーでもなんでもなくて、なんかやりきれなくて。結局なんの慰めになりなんの薬になったのか?暗い。希望がない。結局厨二病をもっとこじらせただけのように思え。そうか!全部ギャグだったのか!