- 作者: 佐々木克
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1977/01/25
- メディア: 新書
- クリック: 33回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
中公新書の一冊であり、前回の「幕末史」と同じ作者だった。こちらの方が「幕末史」よりもずいぶん前に書かれていて、1977年初版である。
鳥羽伏見の戦いから函館戦争までが描かれている。前に読んだ「奥羽越列藩同盟」に登場した人物が再び出てきて嬉しかった。また「奥羽越列藩同盟」との対比も面白かった。
同盟の成立は新政府を作った薩長が天皇をそそのかし私闘をしているという理由だった。両者ともに勤王であることは変わりがなかったが、新政府は徳川を排除し旧幕府側だった会津に対して厳しかった。そして同盟側は戦いを避けたかったのに新政府は会津を許さなかった。そのキーマンが新政府側の奥羽鎮撫使世良修蔵である。世良は強硬派であり武力による討伐を指向していた。そして傍若無人な態度を取ってるうちに暗殺されて東北戦争のきっかけとなった。またあまり語られていないが、公家が薩長の力を牽制するために東北をそそのかしたとする説もある。公家の動きを見てると日本の未来を憂うのではなく、権力を握りたいだけにしか見えないんだよな。
「奥羽越列藩同盟」では仙台藩、米沢藩、榎本武揚が批判的に描かれていたが、この本ではそうでもなかった。この辺りの解釈が面白くて、ぜひ他の人が書いた本も読んでみたいね。読めば読むほどのめりこみそうだ。