びーの独り言

どこいくの?どっか。

天災と国防

天災と国防 (講談社学術文庫)

天災と国防 (講談社学術文庫)

 寺田寅彦氏は、昭和初期の物理学者として、また随筆家として有名である。昔からどこか惹かれるものがあった。昨年のブックフェアで見つけたので購入してみた。
 この本は東日本大震災があったので編集されたようだ。関東大震災、函館大火、浅間山の噴火などを扱っている。この本で印象に残っている内容は以下のとおり。災害は必ずやってくるのでどうしようもないが、問題は忘れたときに満を持してやってくることである。対策をしたからといって安心していると、それ以上の災害が来たときに被害を大きくしてしまう。防災は国がやるべきとかではなく、それぞれの個々で意識するものである。普段から忘れないように子供の頃からしっかり教育する必要があるのではないか?
 3日で1回読んだ。寺田寅彦氏の冷静な観察眼は常に本質を捕らえており、平成の今の世においても色褪せることはない。論理的で客観的、軽快でユーモア、どこを切ってもバランスがよい。この主題で堅くならずに楽に読ませてしまうのだから、名随筆家として名を残しているのも頷ける。