びーの独り言

どこいくの?どっか。

9月が永遠に続けば

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

 よく平積みになっていた。著者のことは全然知らなかったが、沼田まほかるのまほかるの響きがなぜかしっくりきた。後からわかったのだが、この著者は50代の女性で、本作がデビュー作となる。2005年に発表されていきなりホラーサスペンス大賞を受賞した。しばらくは低調だったが、最近急に売れて60万部に達した。まほかる事件と呼ばれているようだ。
 主役はおばちゃん。旦那とは離婚している。突如息子が失踪。おばちゃんの謎解きが始まる。別れた夫、夫の再婚相手の女、再婚相手の連れ子の娘、連れ子と付き合ってた男とおばちゃんが身体の関係。落ち着いた文体だが、女性特有のねちっこさ。暗い雰囲気が続いて面白くはなかった。なかなか話が進まないから、途中でしんどくなった。後半は謎が解けていき展開が早くなった。後出しじゃんけんみたいな展開でポカンとしてしまった。
 推理小説ってそういうものなのかもしれない。先に読んだものと比べている自分がいた。「ひまわりの咲かない夏」はひたすら気持ち悪かった。「ひだまりの彼女」はひたすら甘かった。「鉄の骨」は理系の私には読みごたえがあった。「ボトルネック」には驚きはなかった。本作はテレビドラマの方がむいてると思った。テレビドラマの方がわかりやすいし、読むのに何日もかける必要がない。要するに「ひだまりの彼女」は理想の彼女を追及している部分が目新しく、「鉄の骨」は談合を説明している部分が目新しい。他の作品は設定が面白くない。また気持ち悪かった。エンターテイメントで終わらないと長い時間かけて読ませる価値はないと今の私には思われる。
 本作では作者が女性というのもひっかかっていた。以前小川洋子で大失敗したのがトラウマになっているのかもしれない。でも、有川浩では大丈夫だったから関係ないと思うのだが。今後は山田詠美塩野七生に期待している。
 本作は後をひく何かがある。得体のしれない違和感。まだ完結してないような気分。面白くないけど、面白いのかもしれない。もしかすると名作なのかもしれない。