びーの独り言

どこいくの?どっか。

2010/03/27(土)「乗鉄」

 0450起床。春の18きっぷ第2段。千葉みなと―東京―沼津―金谷―千頭―井川―千頭―金谷―静岡―東京―千葉みなと。東京で大学友人Sと合流。
 今回の目的は大井川鉄道だった。大井川鉄道は、SLの動態保存と日本で唯一のアプト式区間があることで有名。元々の設立経緯がダムの建設資材の輸送だから、険しい路線が大好きな私にはマッチすることは約束されていた。今回SLには乗らなかったが、SL以外にも往年の関西私鉄の車両が現役でそれも楽しみだった。
 いつも金谷駅のホームは短くて小さいなあと思っていた。しかし、待合室にはお客さんがたくさんいた。切符窓口の年輩の駅員さんがいい加減で、終点井川までの電車はもうない、とか、時刻を調べるかと思えばいきなりダイヤグラムを広げたりとか。なんとか購入したフリーパスは5000円。割高の印象を拭えなかったが、ここは移動が目的ではなく鉄道全体がテーマパークだ。ホームにいたらあの駅員さんやってきて「倒木があって閑蔵駅で折り返し運転をしている」と言われた。閑蔵駅は終点井川の一つ前。これでは全線制覇できない。なんというツキのなさ。でも、今さら他に行くとこもない。計画続行。未乗区間はまた乗りに来いということだろう。今度はSLだな。
 入線してきた車両はグリーンの南海だった。子供の頃に見たような懐かしいタイプ。間近で見ると塗装が剥げてボロボロ。こんな珍しい車両に出会えてすでに満足してる自分がいた。電車はJRから分かれてすぐに新金谷駅に到着。車庫があって、2台のSLが煙を吐いていた。新金谷を過ぎるとすぐに人家はまばらになり、大井川の右岸の狭い隙間をすり抜けていった。線路は痩せており、車体もよく揺れた。大井川は雄大ではあるが、水量は多くなく、普通の川と違って白く濁っていた。ずっと大井川を横目に時折茶畑の中を進んだ。あまり民家がなく、平行する道路もなかった。こういうケースは珍しい。ちょうど桜が咲いていて、天気も晴れていい感じだった。SLを狙う三脚がたくさん立てられていた。もう充分満足していた。
 本線の終点は千頭。構内はとても広かった。左側のホームに井川線の客車、一回り小ぶりで赤と白を基調としたデザインで5両。最後尾にディーゼル機関車。すでに満員だった。中は見た目以上に狭かった。クロスシートで右が二列左が一列。連結部からは隣の車両には移動できない構造。列車がスタートすると、百聞は一見に如かず、とはこのこと。予想を越える迫力。緑の山の中、足元に大井川の清流を見ながら、切り立った断崖絶壁をガタゴト。トンネル断面は小さくてくぐるたびに迫力があった。まるで遊園地の乗り物。かつての森林鉄道はきっとこんなイメージだったんだろう。よくもまあこんなとこに線路を敷いたもんだ。激萌え。
 アプトいちしろ駅で最後尾にアプト式電気機関車を接続した。アプト式とは急勾配を登るための方式。二本のレールの真ん中にギザギザのついた三本目のレールを敷き、機関車の動輪が歯車になっていてギザギザに噛ましてパワーを出す。アプトいちしろから次の長島ダム駅は勾配が90パーミル、1000m進む間に90m登る。ここは日本一の急勾配区間。ダムができて線路が沈むことになり付け替えになった。前に見える急勾配を登っていくときのワクワク感といったら!そして、左手は巨大な長島ダムの堤を見下ろしていた。列車に乗って見る景色じゃない!さらに進むとエメラルドグリーンの水を蓄えたダム湖。空の青に山の緑、原色の攻防が爽快だった。そして、さらに湖を鉄橋で横切った。対岸には廃線跡のトンネルと鉄橋。心をわしづかみにされた。もうなんでもありだ。
 結局、不通箇所は復旧して終点井川まで行くことができた。井川は予想以上に何もないとこだった。超山奥だから仕方ないが、本当に何もなかった。井川ダムを見学できたが、時間の都合上割愛した。長居すると戻れなくなる恐れがあった。折り返しの途中からは眠ってしまい、気がついたら千頭だった。地元の料理を食べようとしたら全ての店が閉まっていた。繋ぎに売店でポテチを買った。今度の車両は京阪だった。金谷まで爆睡した。
 帰りは静岡で鯛飯とビールを買って、東京行きに乗り換え。豪華特急車両。大満足。品川でSは降りていった。Sと行く旅は退屈しない。またどこかいきたい。大井川鉄道は今までの乗鉄で一番よかった。レベルが違いすぎる。観光鉄道で生き残っているだけある。ここは温泉とセットで行くべきだ。フリーパス込みで10000円はかなりお得。