- 作者: 宮脇俊三
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 文庫
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (27件) を見る
あんまり面白そうに思えなかった。「昭和史」なんて興味ないし、どこか重たそう。でも、宮脇氏だから期待。
超面白かった。題名とは全然イメージが違った。著者の幼少の頃−昭和8年から23年−のエピソードが、当時の時刻表を元に綴られていた。時代背景とかの描写が秀逸でのめりこんだ。例えば、渋谷駅でハチ公が寝ていたのを実際に見ていたとか、軍事教練で富士山に行ったとか、空襲にあっても鉄道の復旧は早かったとか。目次で米坂線が出てて、不思議に思ってたら、玉音放送を今泉駅で聴いたとなっていた。それでも、汽車は時刻どおりやってきた、という着眼点にただただ脱帽。
著者の父は国会議員で裕福な家庭だったようだ。だから、あっちこっち旅行に行ってるようだった。当時としてはとても贅沢なことじゃないだろうか。私なんて決して旅行なんて連れて行ってもらえなかった。また、著者は強烈な時刻表マニアだったようで、何時の汽車に乗ったということがきちんと分単位まで記されていた。私が子供の頃に乗った電車を思い出そうとしてもそんなことはとてもできない。著者のことは単に鉄道趣味者くらいにしか思ってなかったけど、こういう人は幼少の頃から圧倒的に違うのだと思った。