起きてすぐに思ったことは、移植するのは本当なんだなということだった。風呂に入るため外に出たとき、涼しくなった空気を感じた。見上げると青いくすんだ空だった。今まで当たり前で気にもとめてなかったことが、もはや当たり前ではなくなっていた。
一連の仕事を片付けてしまって、最近は手持ちぶさただった。今日もどうしようかと思ってたら、Yさんから今までやってない測定を頼まれた。私には来ないと思っていたので意表をつかれた。一度派遣さんにやり方を教えてもらっていたが、移植のことで頭いっぱいで、すぐに過去の記憶を引きずり出すのは無理だった。派遣さんがライブラリ見ずに同定してるのが凄すぎると思った。
帰ってからどこに飯を食べに行くか悩んで、なんとなく久しぶりに上等カレーにしてみた。思ったよりおいしかった。昨日から食べ物がおいしく感じられるのはなぜだろう。
月曜日に唾液を病院に持っていくので、自分の分を採取した。歯を磨いてから1時間待った。渡された棒の先にはスポンジがついていて、頬の内側と舌の裏を何回もこすって唾液を採取した。棒は梱包して冷蔵庫へ。型が合う合わないはまったく気にならなくて、うまく測定できるかどうかだけが気になっている。
