びーの独り言

どこいくの?どっか。

未来改造のススメ

未来改造のススメ 脱「お金」時代の幸福論

未来改造のススメ 脱「お金」時代の幸福論

 岡田先生のことは「レコダイ」で初めて知った。読んでからすごく気に入った。ついったーでフォローしてるのだが、そこのつぶやきもなるほどと衝撃を受けることが多かった。「本は実践しないと読んだうちに入らない」「家族や友人に過度の期待をしない方がいい」「国営のネットカフェを作ればいい」など。さらに「オタキングex」という会員制の近未来型組織まで作ってしまった。HPに行くと岡田先生が書いてる「悩みのるつぼ」という相談室の回答を見ることができるが、この内容も秀逸だ。問題を理屈で考え落としどころを見つけるやり方、特に「自分の感情を乗り越える」という究極の解決法に頭の良さを感じた。私のような凡人はそれができないから悩むのです・・・。
 この本は何か一冊読みたくてとりあえず買ったもの。10冊以上ある未読の本のうち、わざわざ池谷先生の本を飛ばして3回連続で読んだ。小飼弾氏との対話形式となっている。この小飼氏のことは私は知らなかったが、投資家、プログラマとなっている。字数のボリュームはそんなにないが、内容は期待どおりであった。
 なるほどと思い読んでいた。でも、3回読んで印象が変わってきた。なんとなく鼻につく点が出てきた。重箱の隅をつつくようなことなので大勢には影響しないと思う。でも、ちょっと指摘してみる。制度上のルールを破ることでイノベーションを起こすやり方が多いが、実際は法律や慣習を変えることはほとんど不可能だよね?養子縁組の話はあったけど、ちゃんと扶養しないと法律違反でしょう。私は今の枠組みは決して正しいものではないと思うけど(国や地域によって違うし)、それはゲームのようなものであって皆が守るから意味があると思う。一人が破れば恩恵を被るに決まってるし、皆がやり始めればまた新しい問題が出てくるだけだと思う。だったら新しい枠組みは、新しい技術が出てくるような方向に仕向けないとダメじゃないだろうか?技術のような物質的な豊かさを求めるのではないのであれば、あとは精神的な豊かさの方向だね。それからエネルギー問題に関する科学的知識についてはかなり違う。太陽光エネルギーを利用すればエネルギーは無限というのはわかっているが、それが集められないから困っている。結局、植物を植えるくらいしか良い方法がない。まだ原発を増やそうの方が現実的だ。どうも技術に関する記述が乏しいのに目がいってしまうのだ。ベーシック・インカムは一つの方法論だけど、それだったら現物支給の方が確実だと思う。多分、人間は基本は悪だと思うので、犯罪とか貧富の差は生じてしまうんじゃないかな。いっそ神に登場してもらって全員がピューリタンでよかったりしてw。
 名言もいくつかあった。「知恵やコンテンツはそもそもフリーである」、コンテンツはフリーだけど、法律を破ってネットに流出させたりしてはダメだと思う。むしろ、無報酬で優秀な作品を作るアーティストが出てきて、有料の意味がなくなることを期待している。「仕事の報酬は、カネから体験に変わる」、そうなんだよな。自分の力になる体験ってカネとは乖離してるんだよな。多分今の職場に文句があるとするなら間違いなく体験の部分じゃないかな。「生きる力とは、たかる相手を見つける能力」、考えてみれば誰もが誰かに寄りかかって生きている。私も会社のお世話になっているし、友人にも助けられている。たかるとなると気持ちよくたからないといけない。自分のわがままを通してばかりで天につばを吐く愚か者かもしれないね。ま、それはそれで誰かの役には立ってる部分もあると信じたいけど。
 この本はわかりやすいけど、一部明らかな説明不足である。会話形式だからなのかもしれない。「レコダイ」や「悩みのるつぼ」の回答は素晴らしかっただけに少しがっかり。でも、もしこの現場にいたらワクワクして仕方ないのだろう。魅力に取りつかれて教祖様にお布施を払ってしまいそうであるw。最新作「遺言」も買ってあるので、そちらを期待しよう。