子供の頃に「うちにはお金がない」と言い聞かされてた。実際そうなのかと言えば、そうじゃないような気がするのだが。電気はプチプチ消したし、冷蔵庫はすぐ閉めた。ファミコンは2時間までだった。酒も出ず、外食もせず、旅行も行かず。カップラーメンや炭酸飲料も禁止。自家用車も途中からバイクになった。
そのためか、用事もないのにどこかに遊びにいこうとは思わないし、おみやげの置物なんて買わない。どこにでもチャリで行ったし、18きっぷで本を読めばいいと思った。お金払って寝るだけなんて考えなかったからホテルに泊まろうなんて発想よりも先に、友人の家を利用したり夜通し起きていた。身につけるものへのこだわりもなく、機能性と安さが全てだった。ビールなんて苦いのになんで高いんだと思ってた。独りで車に乗ってる人は嫌いだった。車は高価だし道路で偉そうだから。
大人になり自由になるお金が増えて、心配する必要はなくなった。時間を金で買うという考え方もわかるようになった。友人に会うために新幹線で東京に行くようになったし、旅行に行くこともある。人がビールを飲む理由もわかった。車も通勤には欠かせない。
けれど、最近、本当にお金を有効に使えてるかどうかと思うようになった。日々のストレスをビールや旅行で紛らわしてるつもりだったが、どこか満たされなくなってきた。いつのまにかわがままになって、ルーズになっただけのような気がする。ちょこちょこと日常の習慣の中で無駄な出費をしてるとしたら、もったいないことである。この先の時代、どうなるかわからない。病気も倒産も戦争もあるかもしれない。お金が全てだとは思わないが、必要なときに泣くことがないようにしたい。当たり前のことを当たり前にやるだけだが、それが一番難しい。人よりいい暮らしをしたいなら同じことをしてたらダメ。何かを変えなきゃ何も変わらない。強さの秘訣は日常に潜んでるんだと思う。マラソンと同じ。備えあれば憂いなしだ。