- 作者: 橋爪大三郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 文庫
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「ボクは坊さん。」を読んですぐに買った本。西北のジュンク堂に平積みになっていた。ドはまりして7回以上は読んだが、まだ満足してない。でも、頭に入らなくなったのでここでまとめる。因みに大学友人Sも読んだことがあるらしく、そんなに印象に残らなかったとのこと。
世界の宗教の内容を比較して社会学に落とし込んでいる。マックス・ヴェーバーの仕事が有名らしい。その名前は般教の何かの講義で聴いたことがある。あの時の私は未熟過ぎて何も理解してなかった。今になって面白いと思うようになるとは不思議なものである。きっとSは理解してたのだろう。
キリスト教、イスラム教、仏教、儒教などの説明がされている。特にカルヴァンの救済予定説はやばかった。慰めとしては最強の論理ではなかろうか。「私が神を信じないのは神が私を見放したからだ。見放されたくなかったら頑張れ」。他力本願を利用して自力本願を引き出してる。私は無神論者だけど、困難にぶつかったときこの言葉が頭をよぎるようになった。人間の性質に一番合ってる言葉かもしれない。「南無阿弥陀仏」と心の中で一回でも唱えれば救われるという浄土真宗よりはマシだと思う。
仏教の「空」もすごい。私もそういう考えを持っているが、なんという超越した考えなのか。「生きてもないし、死んでもいない。意味はあるし、意味はない。そこにあるし、そこにない。見えてるようで見えてない。聞こえてるようで聞こえてない」みたいな。それを言ったら身も蓋もない。こだわりがよくないということか。すべてがあきらめの境地。認識論がすべてなのか?たとえそうだとしたらそれは救いになるだろうか。それよりは人生には自分自身の目的があった方がいい。酒井師の「何しに来た」の方が好きだ。
仕事を正当化したピューリタンも面白い。私利私欲は禁止しているのに儲かるのは神に愛されてるからって。これってこじつけのようにも思える。同じく仕事を肯定してなんでも自給自足してしまう禅宗も熱い。こないだ永平寺に行くべきだったか。
この本は東工大の教授である著者が講義用にまとめた資料である。ものすごい分量だけど、これで入門とは驚きだ。宗教を通じて政教分離や尊皇攘夷や日本人の国民性、死生感まで説明されている。ところどころわかりにくいところや強引に思うところがあるが、それを差し引いても凄い本である。もっと宗教について知りたくなった。既に他の本も買ってあって、読むのを楽しみにしている。一体誰がパンツをはけと言ったのか。私に言わせればそれも宗教だ!