びーの独り言

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くまモンの秘密

くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ (幻冬舎新書)

くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ (幻冬舎新書)

 昨日大泉学園の「LIBRO」で買った。くまモンがここまで人気が出た理由に興味があった。
 くまモン熊本県のキャラクターであり、2011年のゆるキャラグランプリで1位となった。全身真っ黒な熊で、とことんまでデフォルメ化されたわかりやすい風貌と、少し驚いたような大きく見開いた白目と、猫みたいに縦になった黒目が特徴。一発で覚えられるインパクトがあった。最初私が熊本県で覚えているのは、当時ブレイクしたばかりのスザンヌをフューチャーして、熊本サプライズキャンペーンを行っていたことだ。スザンヌのキャラが好きだったので、いい印象を持っていた。それからしばらくすると、くまモンが出てきていた。ゆるキャラがはやりつつあったときだから、また出てきたなあという感じだった。リラックマとも被るなあと思った。
 この本には、くまモンの誕生からどのように売り出したかについてが、当時のスタッフによっておもしろおかしく書かれている。第1章では関西でのキャンペーンについて書かれている。これは2011年3月の九州新幹線の開業を見込んでのことである。もともとこの本の成り立ちは、スタッフの一人が関西でのキャンペーンについて、個人的に記述したことがベースになっていて、出版にあたり第2章以降が付け加えられている。第2章では熊本でのキャンペーンについて書かれている。第3章では熊本県知事の言葉が簡単に載せられている。
 2009年4月に熊本県庁にチームが発足。2009年7月に天草出身の東北芸術工科大学デザイン工学部企画構想学科の小山薫堂氏をアドバイザーに迎えた。私は小山氏のことはまったく知らなかった。wikiで調べると放送作家のようである。2009年12月に「くまもとサプライズ」のキャッチフレーズが決定。2010年2月に小山氏は水野学氏に依頼をして、くまモンというキャラを作った。この本では触れられていないが、この覚えやすいキャラを作ったことがかなりよかったのではないか?熊=熊本という結びつきが素晴らしい。これが「清正くん」とかだったらどうだろう?
 2010年7月から熊本での活動開始。保育園や幼稚園の子供に売り込む。2010年10月からは関西でのプロモート。甲子園球場での看板設置からスタート。ツイッターなどのWEBでの宣伝。吉本興業大阪プロレスとのコラボ。新聞やTVでの露出。神出鬼没のくまモンを演出。名刺を1万枚配る。エースコックUHA味覚糖カゴメなど企業とのコラボ。ライセンス料は一切なし。熊本の宣伝をしながら、熊本の名産をアピール。
 サプライズの仕掛けが興味深い。口コミで噂が広がる、オファーが増える、という相乗効果が素晴らしい。熊本のプロモートのはずが、キャラが一人歩きしてスザンヌリラックマも越えてしまっている。いつまでも新鮮さをアピールできるかが勝負となるだろうけど、既にブームではなく、熊本=くまモンという印象ができてしまっている。まだ世界だってあるんだから、しばらくは大丈夫じゃないだろうか?
 蒲島知事も素晴らしい。この人のリーダーシップがないと絶対にうまくいかなかった。経歴が東京大学政治学の教授、世の中に生かしてこその学問という考えで、熊本の知事となった。こういう身近に感じられるリーダーがいるっていいよな。それに比べうちの知事は(ry。
 1回読んだ。1日で読める。この本もまた宣伝の一つだろうと思う。私としては、現場の生々しいやりとりに興味があったんだけど、そういうのはイメージにそぐわないのだろうな。でも、経緯はよくわかったし、しかけの中身がわかったのもよかった。こういった手法を自分自身のプロデュースに生かせないかなと考えてたり。自分自身にサプライズを起こさないとな。