「動く大地」の鉄道トンネル―世紀の難関「丹那」「鍋立山」を掘り抜いた魂 (交通新聞社新書)
- 作者: 峯崎淳
- 出版社/メーカー: 交通新聞社
- 発売日: 2011/10/01
- メディア: 単行本
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これも「国際ブックフェア」交通新聞社からの1冊。題名から即決なわけで。
この本では、まずトンネルの掘り方を説明し、次に世紀の難工事だった丹那トンネルの工事を紹介し、最後に屈指の難工事だったほくほく線の鍋立山トンネルの話で終わっている。
トンネルを作るにはただ穴を掘るのではなく、地層や断層によって掘り方が変わってくる。特に日本は断層が多く複雑な複雑な地層をしている。断層は不安定であり、落盤が起きたり、地下水が涌いてきたりする。丹那トンネルはトンネルを掘る技術がまだ発達していない黎明期に掘られたため、人類が遭遇したことのない不測の事態が続出した。土木者たちは、試行錯誤を繰り返し、不屈の精神をもって、トンネルを掘り抜いた。1937年の完成までに16年もかかり殉職者は67人にも及んだ。現代においてもなお未知の地層が地面には隠れていた。鍋立山トンネルは想像をはるかに越えた膨張性地山に苦しみ、1995年の完成まで22年を要した。
著者は作家である。土木の専門家ではないが、専門誌に連載していた縁で、今回の話が来たようである。専門用語が多く技術的なところはあまり理解できなかったが、トンネルを掘り進めた様子はものすごく熱くてワクワクした。NHK「プロジェクトX」の青函トンネルの時もそうだったが、トンネルの話になると妙に血が騒ぐのはなぜだろうか?後退が許されない中で命がけで前進し続け、未知のものに挑み続ける姿に感動するのである。
3日で読んだ。もう一度読めば、理解度は増しそうだが、私にはそこまでの余力はない。この本は難しいので一般人にはお薦めしない。鉄道はまったく関係なく、鉄道ファンにもお薦めしない。トンネル好きな人にお薦めする。これらのトンネルの話は、いくつかのHPにも取り上げられているようであるので、そちらも合わせて読むといいかもしれない。