- 作者: 福澤諭吉,斎藤孝
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/02/09
- メディア: 新書
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有名な本を読もうシリーズの一つ。冒頭の文章「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」は物凄い有名だが、それ以外の内容は全く知らなかった。原文は読みにくいので、読みやすいように書き改められている。明治5年から明治9年に渡って書かれ、明治13年に出版、9年間で70万冊も売れたらしい。
幕府が倒れ、西洋文化が流入し、外国の脅威に怯える中、その当時にしてみれば画期的内容だったのかもしれないが、古くて説教臭く、理屈がこなれていない印象を受けた。昔の作品を読むときに感覚がマッチしない点は、今後注意しなければ。訳者は昔の文体が読みにくいので廃れていったと書いていたが、文体のせいだけじゃないだろう。それでも残っているのは慶大関係者の努力があるのかも。自分の感覚と違うものだから気になって2回読んでみた。
内容をまとめると、「人間として生きているのだったら、ただ食って寝て死ぬのではなく、人のために役に立ちなさい。身分の違いはなく役割に応じて自由に意見をいいなさい。そのためには勉強しなさい。勉強とは実践で役に立つものを言う。役に立たなければ意味がない。料理だって洗濯だって勉強だ。みんながそれぞれ独立してこそ強い国になる。」という感じだ。新しい時代の訪れを告げている。欧米に対する劣等感がそうさせるのか。個人に光を当てて、勉強すればチャンスがあるんだ、と励ましている。現代にも通じるエッセンスだ。気になったところとして、「妬みで人の足を引っ張るな」というのがあった。確かにそうだよなと妙にひっかかったり。
学問はすすめるがこの本は進めない。世の中にはもっといい本がある。