びーの独り言

どこいくの?どっか。

2024/09/14(土)「奥只見」

 今日から三連休だった。どこか出かけるつもりだったが、行きたいところがなくて昨晩は出発できなかった。このままズルズルといきそうだった。起きたのは4時だった。これだったら渋滞にハマらないのではないか?
 5時、出発。給油後、515、再出発。目的地はとりあえず前から行きたかった奥只見ダムに決めた。外環を大泉まで行ったのはかなり久しぶり。関越道は途中事故渋滞があったが、それ以外はそこそこ流れていた。820、大和PA。小出IC下車。
 855、奥只見シルバーライン奥只見ダム建設のために作られた行き止まりの道。全長22kmのうちトンネルがなんと18km!道マニア垂涎の道。どういうところか気になっていた。
 トンネルは壁は素掘りかコンクリート吹き付けで無骨なイメージだった。ダムのためだけに掘られたから内装を気にしてないのか、硬い岩盤だから化粧する必要がないのか?最初は小刻みにトンネルと覆道を繰り返していた。これではあんまりだなと思っていたら、途中から長いトンネルとなった。トンネルの中はナトリウムランプで怪しく照らされていた。いつの間にか壁や地面はべちゃべちゃになり、そのうち霧まで出てきた。地面には小さな黄色の反射板が点在して車線を表していた。カーブがある壁には電球の集まりで作った大きな赤い矢印が点滅していた。地獄のような不気味な赤だった。ここはまるで鉱山か防空壕か、はたまたテーマパークのアトラクションのようだった。何度か車を停めて写真を撮った。走りながら動画も撮った。
 920、大駐車場。山奥とは思えないくらいの大きな駐車場があった。ここはまだダムの堤体の下だった。駐車場には奥只見レイクハウスとスロープカー乗り場があった。スロープカーの軌道がダムの堤体の方にニョロっと伸びていた。どうやら奥只見ダムには歩きかスロープカーで行けるようだった。
 スロープカーは100円だった。100円なら乗鉄としては余裕で乗るだろう。係のおじさんが離れたところから「乗りますか」と叫んだので、手を上げた。時間とか関係なしにお客さんがいたら動くようだった。写真を撮るのもそこそこにスロープカーに乗った。スロープカーは2両編成で黄緑色だった。中は観覧車のゴンドラを少し広くしたような構造で、先客が2人いた。係のおじさんも乗った。
 ゴトゴト動き始めた。スロープカーは高度を上げ、駐車場がだんだん見渡せるようになった。おじさんが少しガイドしてくれた。奥只見湖の遊覧船は9時半からということだった。他にはここから尾瀬に行けるようだった。それは知らんかった。「尾瀬尾瀬でも尾瀬ヶ原だけどね」と言った。その違いがわからなかった。
 スロープカーの上側の駅は堤体と同じ高さだった。降りた2人以外はいなくて閑散としていた。奥只見ダムは、高さ157m、全長480mの直線重力式コンクリートダム。映画「ホワイトアウト」のモデルとなった。私は原作の漫画を見たことがあった。とてもスリリングでスケールの大きい面白い話だった。堤体の上からは奥只見湖が見渡せた。湖面は深いブルーで、空の明るい青とは対称的だった。誰もいない静かな世界だった。湖の奥は山で隠れて見えなかった。これから遊覧船で行くのだろう。
 遊覧船までの待ち時間で、奥只見電力館に行った。建物は高台にあった。入口でダムカードをもらった。2種類あった。展示は軽くて動画が多めだった。ここからのダムの眺めは素晴らしかった。展示より眺めがメインだったのかもしれない。
 10時半、奥只見湖遊覧船。1200円。ここだけ20人くらいの人がいた。桟橋への階段を下りていくと、大きくて立派な西洋風の船が停泊していた。ファンタジスタ号だった。乗り込む時に係のおじさんにどこに座ったらよく見えるか確認した。内装は観光船らしく豪華だった。私は船に乗る時は外のデッキに出るようにしてる。せっかくなので風を感じたい。
 船が離岸すると、自動音声による案内が始まった。志摩や舞鶴では口頭での説明だったことを思い出した。景色はゆったりと流れた。慌ただしい旅行の中で、少しゆっくりできる時間だった。それでも、写真を撮りまくった。ここの景色は変化があまりなかった。どこまで行っても山の間に湖が広がっていた。だから、アナウンスは歴史が中心であり、現実の風景としては、山の紹介くらいしか出てこなかった。
 1110、着岸。奥只見レイクハウスで昼食。ダムカレーの幟が立っていた。これは食べなければ。流れるダムカレーぎゅ〜肉Ver.。カレーの具とルーがダムに見立てたご飯で分かれていた。おばさんが「ウインナーを抜いて開通させてください」と言った。ご飯のダムの下の方には爪楊枝の刺さったウインナーが埋もれていた。これは面白いアイディアだと思った。早速、ウインナーを抜くことにした。その様子を動画で撮影した。ウインナーはなかなか抜けなかった。ウインナーにご飯がくっついていて堤体全体が崩れるかと思ったが、なんとかウインナーだけ抜けた。ルーが具の方に流れこんだが、思ったよりも勢いがなかった。それもまた御愛嬌か。肝心の味は甘くて普通に美味しかった。
 売店で「ダムかるた」を見つけた。もしやと思うと、やっぱりデイリーポータルZの萩原さんじゃん!2310円だけど、余裕で買った。勉強しなきゃ。
 1225、出発。直後、12時半、シルバーラインのトンネルの前で数台の車が止まっていた。トンネルの前には人集りができていた。前の方からお兄さんが歩いてきて、「トンネルの1kmのところで事故があり、今レスキューが向かってます」。行き止まりの道で唯一の脱出ルートが塞がれた。リアルホワイトアウトやんけ。私は後ろから来た車にそのことを伝えた。もしかしたら、トンネルの中から事故が見えるのではないかと思い、トンネルの前に行くと、別に何も見えなかったが、涼しい風が吹き出していた。さっきのお兄さんは偶然にも奥只見の人のようだった。もう一人地元のおじさんがいた。そのおじさんが、トンネルの上の電光掲示板を見て「交互通行になった」と言った。1235、トンネルに入った。でも、トンネル内でピタッと止まってしまった。涼しいから窓を開けていたら、凄く排ガス臭くなった。北陸トンネルの事故を思い出した。このまま死ぬんじゃないかと思った。しばらくすると対向車線を消防車や救急車が走って行ったが、車列はなかなか動かなかった。なぜ交互通行の表示を出したのか?車の中でブログを打った。1310、ようやく動き出した。すぐにボコボコになった軽バンが出てきた。どうやったらこんな真っ直ぐな道で事故って、しかもここまでボコボコになるんだ?なぜか右後ろのタイヤがなくてホイールだけになっていた。バーストか?
 途中の銀山平でトンネルから脱出した。尾瀬方面に行きたかったが、ガソリンがあまりなかった。車を適当に停めてガソリンスタンドを調べた。1時間半先の檜枝岐にあるようだった。1325、檜枝岐のガソリンスタンドに電話。開いてるようだった。
 国道352号線は柏崎から魚沼を通り、尾瀬から檜枝岐に抜け、最後は上三川に至る。奥只見からの国道352号線尾瀬まで56km、1.5車線のひたすら山肌に張り付いた道だった。周りには山しかなくて、山の中腹にはこくの国道が刻んだ一筋のラインがあった。この道を見ていたら、人はどこにでも道を作ることができるような気がした。そこまでしてこの道を作ることにどんな意味があるのだろうか?しかも、冬季は通行止め。利便性よりも土建屋のためなのかもしれない。
 ブラインドカーブからは時折対向車が急に現れた。こういう時、軽はラクだ。後ろからはずっと1時間以上バイクが追いかけてきた。私を抜く気配はなかった。私を楯にしてたのだろうか?そんなことをしても面白くないだろうに。
 1435、御池ロッジ。ここが尾瀬の入口だった。トイレを借りたかったが、駐車場は1000円だった。ご丁寧に路駐禁止と書いた看板がそこら中にあった。少し離れたところに路駐して、尾瀬について調べた。よくわからなかったが、とにかくここからはまだまだ遠いということはわかった。やはり思いつきで尾瀬に行くのは難しかったようだ。来年、頑張ってみよう。
 1450、ミニ尾瀬公園。トイレ。美術館があったが、スルー。
 檜枝岐村の中心は民宿ばっかりだった。いくつもお墓が国道に面していた。この形式は初めて見た。小さな集落でとてもガソリンスタンドがあるようには見えなかった。
 1505、JA会津よつば檜枝岐村給油所。車が2台しか停められない小さなガソリンスタンド。天井からは給油ノズルがぶら下がっていた。172円/L。これでも檜枝岐村から補助金サポートがあるらしい。
 ここからは檜枝岐村を観光することにした。檜枝岐村はかなりの山奥なので前々からどんなところか気になっていた。
 1520、鎮守神社。ここには「橋場のばんば」があった。「ばんば」とはおばあさんのこと。錆びたハサミを奉納すれば、良縁が続き、切れるハサミを奉納すると、悪縁が断ち切れるらしかった。切れないハサミの方には針金でグルグルに巻いてるのもあった。錆びたハサミなんて普通持ってないよな。でも、こんなんでご利益あるのかな?奉納されてるハサミは切れるのと切れないのが2箇所に分かれていて、切れるハサミの方が多かった。普段切れないハサミを持ち歩いてる人はいないということにしておこう。一瞬ハサミをどこで売ってるのか考えたのは秘密だ。
 神社の奥には「檜枝岐の舞台」があった。国の重要有形民俗文化財。檜枝岐では歌舞伎が上演されていた。舞台正面の扉は閉まっていた。
 参道には、歌舞伎伝承館千葉之家があった。檜枝岐の歌舞伎は江戸時代から始まり、江戸時代当初の形を保ってることが特徴だった。歌舞伎のある日は多くの人で賑わうとのこと。
 16時、道の駅尾瀬檜枝岐。こんな何にもない山奥に道の駅があるのはよくあることだけど、温水プールがあるのにはビビった。夕食を食べることにした。尾瀬の郷交流センター「お食事処水芭蕉」。天ざるそば。2枚2200円。裁ちそばというのがあった。これは繋ぎ粉を使わないものらしい。平べったく細くて弾力があった。そばの香りが強いわけでもなく、ちょっと変わったそばという感じだった。2枚はやりすぎた。最後はつゆが薄くてよくなかった。所詮道の駅だからなあ?
 1650、アルザ尾瀬の郷。外からはプールが見えた。誰も泳いでいなかった。道の駅から丸見えなのはどうなの?ここには温泉が併設されていた。泳いで、温泉入って、寝るところまで見えた。プールは残り1時間だけだったが、他には近くに温水プールはないし、檜枝岐のいい思い出になるし泳ぐことにした。セット券は1400円。プール代は600円。山の中で誰も来ないからか高い。三連休の昼間に誰もいないところでお察しである。都会だとじいさんばあさんで混雑してるのになあ。更衣室で海パンに着替えると、その格好で一瞬更衣室の前に出てプール入口に入らなければいけなかった。ロビーから海パン姿が見られるのは、初めての構造だった。
 プールは中2日。最近、阪大のことがあってやる気が起きなくなっている。サボり気味の上に食べすぎて太ってしまった。ここは書き込みで水がきれいと書かれていたが、本当にきれいだった。塩素臭くもなくあまり消毒してないのではないか?貸し切りなので、普段できないバックとかやるのはどうかなと思ったが、時間が短いので普通にクロール。身体は太ったからキレがなかった。しょーがない。クロール30往復。1500mで切り上げ。
 プールから一瞬ロビーから見える廊下に出て更衣室に移動。更衣室で着替えてそのまま温泉。とても空いていた。まあ観光だったらこんな名前のとこより、〇〇の湯みたいな名前のところに行くだろうな。800円で洗い場が5つに小さな内湯が一つだけ。新しいのに設備が貧弱でビックリした。しかも、どこにも温泉らしさがなかった。ここはそのうちなくなりそうだな。
 1815、早くも車でブログを打ち始めた。こんな山奥なのに広い駐車場は満杯だった。尾瀬に行くのか暑さを避けているのか?隣に車中泊する夫婦の車がやってきた。こういうのってしゃべるからうるさいんだよなあ。最初、暑くて窓を少し開けていたら、段々と寒くなってきた。スズムシがリンリン鳴いていた。もう秋だな。
 今日は無理矢理出発した割には面白かった。知らないところには何かしらあるもんやね。