フリーライターpatoさんの2024年3月発売の本である。とんでもなく期待して、わざわざ本屋に探しに行ったくらいだった。
patoさんとの最初の出会いは、偶然見つけたネット記事「【徒歩で100km】廃線になる三江線の全駅を死にそうになりながら記録してきた」だった。あれは入院前のことだった。この記事がとんでもなく面白かったので、一緒に昼飯を食べていた同業者のNさんに教えたくらいだった。そこからpatoさんの記事を追いかけるようになった。
この本は普通の文章の書き方を指南するような本ではない。「文章を書くときに直面する絶望」を3つに分けて「書けないという絶望」「届かないという絶望」「伝わらないという絶望」それぞれについて説明している。書く時に訪れる「うまく書けない」という感情をテクニカルに乗り越えることを提案している。また三番目にある「伝わる」は相手の行動が変わるという意味である。そういう意味では、私の文章も以前とは違ってないといけないのかもしれない?
patoさんは理系であり、レジュメを書くのにものすごく苦労したことが書かれていた。私もそれはやってたからよくわかる。どの記事も面白いのは、理詰めで計算され尽くしてるからかもしれない。岡田斗志夫のような疑問を抱く理由を徹底的に深堀して細分化する分析力を感じる。
でも、一番心を動かされたのは題名「文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である。」である。最近私は感情に従わず、理性的になろうなろうとしていた。でも、理性的な日々って味気なくてつまらなくて、そんな機械みたいな単調な日々には意味はあっても価値はないように思えていた。この本を読んで気づかされたのは、私に圧倒的に足りてなかったのは感情だということだった。感情は私が私であるために必要不可欠なものだった。理性ではなく感情、それこそが人から知りたい情報だろう。
私のブログもずいぶん前に上野に言われたところでは、楽しいことを書いてても面白くなくて、苦しいことを書いてる方が面白いらしい。よそ行きではない、剥き出しの感情の方がいいということだ。これからはなるべくその時に何を思ったかを詳細に書いていきたいと思う。