びーの独り言

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光明皇后 平城京にかけた夢と祈り

 万葉文化館に行った時、前回レビューした「持統天皇」とセットで買った。著者も同じ。
 光明皇后持統天皇から4代後の聖武天皇の妃である(天武天皇=持統天皇-草壁皇子-文武天皇-聖武天皇=光明皇后)。光明皇后の父親は藤原不比等であり、光明皇后聖武天皇と同じ年に生まれた。聖武天皇の母は藤原不比等の娘であり、メンタルがおかしくなっていたことから、光明皇后聖武天皇藤原不比等に育てられた。光明皇后聖武天皇と結婚して皇后になった。それまで皇后になれたのは皇族だけであったので、初めての一般からの登用となった。
 聖武天皇光明皇后の間には基皇子が誕生したが、1年も経たずに亡くなった。これがいろいろなドラマのきっかけになったように思える。仏教に傾倒した2人は、紫香楽宮に大仏を作ろうとしたが、山火事が相次いだことから、最終的に奈良に大仏を作った。
 また聖武天皇が病気になる度に、後継者争いで、きな臭い事件が起きた。讒言や密告によりたびたび粛清が行われていた。
 聖武天皇の死後、娘の孝謙天皇が即位したが、光明皇后の力の方が大きかった。また光明皇后の下では藤原仲麻呂が信頼を得て権力を振るった。孝謙天皇は独身であり、跡継ぎはいなかったため、天智天皇系の淳仁天皇に譲位したが、光明皇后が亡くなった後に、淳仁天皇藤原仲麻呂を降ろし、再び称徳天皇として重祚した。
 称徳天皇道鏡を重用したが、「道鏡天皇にせよ」という宇佐神宮神託事件が起こった。お告げが事実かどうか和気清麻呂に確認させたところ、ウソであるとの報告を受けたため、和気清麻呂は処分されて、道鏡も失脚した。結局、その後は天智天皇系の桓武天皇の時代となり、平安京に遷都した。
 感想は「持統天皇」と同じ。感情を深読みして、どこからどこまでが本当か著者の想像かがわからなかった。そもそも、個人の感情まで想像することが、学問で必要なのだろうか?人間は必ずしも合理的行動を取るとは限らないし、その行動の理由を必ずすべて説明できるものではない。著者がもっともらしく説明しても、誤解も生みそうなんだけど?
 読み物としては示唆に富んで面白い。どこまで信用できるかはわからない。