びーの独り言

どこいくの?どっか。

2022/05/29(日)「竹生島」

 615、起床。750出発。今日は竹生島だった。竹生島は15年前に大学友人Sが滋賀に来た時に行きたいと言っていた場所だった。ただ私は当時寺や観光に興味が持てなかったので断った。後々、せっかく来てくれたのに申し訳ないことをしたとずっと思っていた。
 国道8号線から湖岸道路に出ると、空はよく晴れていて、水面は水色で穏やかだった。915、長浜港近くの豊駐車場。歩いて長浜港。竹生島往復は3200円。
 1010、出港。結構人が多かったが、窓際を確保。乗船時間は30分らしい。景色は、水色の湖面、遠くには山が霞んでいた。ひたすら同じ景色で眠かった。船内では琵琶湖や竹生島を紹介するビデオが流れていた。船が竹生島に近づくと、崖にへばりつくような社殿が見えた。
 竹生島に到着すると折り返しの便を待つ人たちが大行列を作っていた。こんなに多いのか?そして、もう帰るのか?ぞろぞろと人が行く方向についていったら、道は狭くて一本道だった。途中で長い行列があり、その先では拝観券を売っていた。なんか先が思いやられた。帰ろうとする人が「だから早い方がええねん」と言っていた。入場してからの石段がこれまた強烈だった。一段が高くて、段数が多かった。狭い土地だから仕方ないとは言え、さりげなく心折りに来ているとしか思えなかった。
 宝厳寺(ほうごんじ)弁財天堂。弁財天が有名らしいが、金網の向こうに小さく見えただけだった。金網は嫌い。宝物殿。マニアックすぎ。説明を読んでもきっと忘れるような宝物しかなかった。唐門は国宝。やけに鮮やかだった。過去に見た唐門はどれも塗り直されてるんだよなあ。唐門から続く観音堂にも仏像があったけど、金網(ry。
 舟廊下という木造で屋根のある通路を通ると、国宝の竹生島神社本殿。神社は苦手なので、風格があるとしか表現が。竜神拝所からは海がきれいに遠くまで見渡せた。ここからの景色が一番の見所だと思った。
 11時半、早々に港に戻ってきた。1205、出港。竹生島は狭いところに無理矢理寺と神社を建ててて、拝観コースも一本道。あまりにもあっけなかった。
 長浜港に戻ってきて、腹が減ったので、13時、黒壁スクエアにある「翼果楼(よかろう)」。長浜名物鯖そうめんの店。鯖そうめんの店がグーグルでここしか出ないからか大行列。長浜で鯖そうめんの店を作れば商売になりそうだな。20分待って入れた。鯖そうめんという名前から食い合わせ悪そうと思ったが、鯖は甘露煮になっていて、そこにそうめんが入っていた。おいしくないはずがなかった。一緒に出てきた焼鯖寿司もおいしかった。
 そのまま長浜観光でもよかったのだが、長浜は4回目くらいだし、あまりテンションが上がらなかった。高月にある渡岸寺に行くことにした。渡岸寺は2回目。大学友人Sが竹生島に行きたいと言った時に代わりに行った場所だった。十一面観音菩薩が国宝。当時私は国宝にも仏像にも興味はなかったが、この十一面観音菩薩は素人目にもとても美しかった。この十一面観音菩薩は国宝指定されている7点十一面観音菩薩の中でも一番美しいと言われていた。ここが後の私の仏像巡りの原点となった。思い出を上書きしてがっかりする恐れもあったのだが、それでも行きたいと思う場所だった。仏像の知識をある程度持った今ならどう感じるだろうか?
 まずは渡岸寺の隣にある高月観音の里歴史民俗資料館。ここも大学友人Sと訪れた。とても面白かったことを覚えていた。改めて見てもやっぱり面白かった。湖北は独自の観音菩薩信仰が発達していており、庶民の祈りを感じることができた。そして、戦火を避けるために、村人たちは仏像を土に埋めたり、水に沈めたりした。渡岸寺の十一面観音菩薩もまた土に埋められたと伝えられている。
 渡岸寺。門を見ても思い出せなかった。本堂に入ると、厨子に入った小さな仏像。遠くて見えなかった。本堂の左の方に新しく作られた部屋があった。そしてそこに十一面観音菩薩があった。15年ぶりの再会。もうね圧倒的に美しかった。均整の取れたボディー、腰はくびれていて少しひねっていて、右足は少し前に踏み出そうとしている。腕は細くて長く、天衣の表現が繊細。頭上の面は他の仏像よりも大きくて、どれも表情が秀逸だった。耳の後ろにも面があるのが珍しかったが、頭上の面を大きくしたためにはみ出したように思えた。ここの展示では、後ろにも回り込めるようになっていて、暴悪大笑面があった。不気味な笑い顔だった。私は仏像の周りを二周した。隅々を穴が開くんじゃないかというくらいに観察した。今までで一番熱心に見ただろう。一人になって、十一面観音菩薩と正対した。こんなに素晴らしい仏像と一対一になれるのは夢のような体験だった。なぜこの仏像だけこんなに美しいのだろう?みうらじゅんによれば、渡来人が作ったのではないかという説を唱えている。私もそんな気がする。湖北にはたくさんの観音菩薩がある。他のものも見たくなった。これこそがご縁だろう。
 帰宅は18時半だった。竹生島はあんまりだったけど、渡岸寺が素晴らしすぎた。前回の訪問がいつだったか調べてみると、2005年8月だった。さらにその時にいろんな情報を書いていることに気づいた。すっかり忘れていた。自分の記憶なんてあてにならないものだ。