びーの独り言

どこいくの?どっか。

2022/03/19(土)「南山城」

 三連休は車でしか行けなさそうなお寺へ行くことにした。8時半出発。京滋バイパスから巨椋下車。今日は京奈和道に行かず国道24号線を南下。木津川へ。木津川は奈良市の北に隣接するが、京都府である。
 950、蟹満寺。狭い生活道路を通って到着。名前に蟹が入っているのがインパクト大。寺には国宝の立派な仏像があるはずなのだが、普通に町中に埋もれている何もなさそうな寺に見えた。受付には誰もおらず「ご用の方は呼び鈴を押してください」となっていた。やってるのか?受付を覗き込むとお坊さんがいた。若くて満面笑みで優しそうな方だった。「お参りできますか」「拝観できますよ」、よかった。「本堂の左手にカセットテープのスイッチを押すと説明が流れます」。
 国宝のご本尊は釈迦如来坐像でとても大きかった。薬師寺山田寺仏頭と同じ白鳳時代を代表する仏像だった。目は白鳳に特徴なアーモンドで、まだ日本でメジャーな仏像の顔は出来上がってなかった。よく見ると顔は継ぎ接ぎになっていた。まるで飛鳥大仏のようだった。奈良の大仏もほとんどが後補であり、時代が古ければ原型をそのまま留めるのは難しいのだろう。理由はわからないが、螺髪と百毫がなかった。
 寺には「蟹の恩返し」という話が伝わっていた。今昔物語にも出て来るらしい。この寺の「蟹」は地名の当て字なのだが、いつしか蟹の話が伝えられてるのも面白い。くまモンみたいなもんか?「蟹の恩返し」の詳細は書かないけど、現代に当てはめれば、なんとも微妙な話だった。
 11時前、海住山寺(かいじゅうせんじ)。山の中腹にあるのだが、とんでもない上り坂だった。思わず石徹白に行った時のことを思い出した。海住山寺からは百人一首にも詠まれた瓶原(みかのはら)が一望できるとのこと。奈良を散策していると百人一首の地名がとこだかわかったりする。日本人には百人一首が刷り込まれていることを実感する。
 国宝は五重塔だが、まずは本堂を拝観。ご本尊は十一面観音菩薩立像。厨子の中に窮屈そうに入っていた。中ぶりで素朴で私の好みだった。
 国宝の五重塔は、一階に裳階(もこし)があり、心柱が1階の天井から始まるという珍しい構造らしい。国宝の五重塔の中で二番目に小さく、四番目に古いというなんとも微妙なポジションだった。
 1150、浄瑠璃寺に到着。ここには国宝がたくさんあった。地図の看板によると、この辺りは当尾というエリアで石仏が多くハイキングコースとなっていた。大きな寺なのか土産物屋があった。道端には白に黒ぶちの猫がたくさんいた。そば屋があったので入った。「塔尾茶屋」、明るいおばちゃんが出てきた。にしんそばを注文。600円は安かった。山菜が載っていて甘味がついていた。とてもおいしかった。おばちゃんとしばらく話した。蟹満寺以外にも古い寺が多いみたい。南山城のパンフをたくさんもらった。猫は11匹いるそうだ。地域猫みたいだ。お客さんが来たので、店を後にした。すごくいいおばちゃんだったので、また来たいなあ。
 1240、浄瑠璃寺。東の三重塔に薬師如来を納め浄瑠璃浄土を表し、西の九体(くたい)阿弥陀堂に九体阿弥陀如来を納め極楽浄土を表す。二つの建物の間には池がある。よくわからないが、これで伽藍を形成するらしく、このような伽藍形式はここにしか現存しないらしい。
 本堂の九体阿弥陀堂は国宝。横長で正面は11間あった。延暦寺の根本中堂も11間だが、あれよりは小ぶり。九体とはなんぞやと思ったら、本堂の中には柱の間ごとに大きな阿弥陀如来坐像が九体。だから九体なのか!すべて国宝。2躰は修復中でお留守。真ん中のご本尊はひときわでかかった。
 脇に目立たず置かれていたのが、四天王の持国天増長天。国宝。多聞天広目天は国立大博物館にお勤めに出ていた。まあここは阿弥陀如来がメインなので仕方ないか?
 1340、岩船寺(がんせんじ)。ハイキングコースの終点。別に国宝があるわけではないが、一応チェック。ご本尊は阿弥陀如来坐像。意外に大きくて、一瞬国宝じゃないのかと思ったくらい(重要文化財)。奈良に来ると重要文化財がショボく見えてしまう。
 1430、円成寺。柳生に行く途中にある。岩船寺に近かったが、奈良県だった。ここにもいくつか国宝があった。本堂のご本尊は阿弥陀如来坐像。遠くて特になんとも。
 国宝の春日堂・白山堂は修復中でネットに覆われていた。文化財あるあるだなあ。
 多宝塔のご本尊は大日如来坐像で国宝。別棟で管理してた。若き日の運慶の作。お顔の漆と金箔が中途半端に剥がれて火傷したみたいで痛々しく見えた。
 時間があったので柳生へ。柳生は山の中の小さな盆地。民宿がやってる駐車場に車を停めて、雨で薄暗い山道をテクテク歩いた。16時、巨大な岩が出てきたと思ったら天乃石立神社。巨大な岩にはしめ縄が。ここは岩が御神体だった。奥には目的の一刀石。巨大な花岡岩が真っ二つに割れていた。一刀石はアニメ「鬼滅の刃」に出てくるらしく、最近人気のスポットとのこと。先客で中年の夫妻がいたが、すぐに私独りとなった。うーん、ただ岩が自然崩壊しただけにしか見えないのだが?ブームにあやかってか、おもちゃの刀がたくさん用意されていた。
 1630、民宿さんに駐車料金を払いに行ったら、おばちゃんが出てきた。親切なおばちゃんで、また柳生に遊びに来て下さいと言われた。でも、あんまり見るものがなさそうなんだよなあ。
 17時半、東横イン近鉄奈良駅前。完全に常宿になっている。何にも考えなくていいのでラクだ。そのままいつもの天理スタミナラーメンへ。
 今日は当たりが多くて楽しかった。南山城は観光客にあんまり汚染されていなくて、昭和の素朴な雰囲気が残っていた。まだまだ古刹があるみたいなのでまた近いうちに巡ってみたい。